不評続く選手村の食事の裏側 “残り物100%回収”など約束する組織委、アスリートと環境への配慮の両立に課題
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、大のスポーツファンも、4年に一度だけスポーツを観る人も、五輪をもっと楽しみ、もっと学べる“見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値が社会に根付き、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
「シン・オリンピックのミカタ」#81 オリンピックを通して考えるスポーツと食・後編
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、大のスポーツファンも、4年に一度だけスポーツを観る人も、五輪をもっと楽しみ、もっと学べる“見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値が社会に根付き、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
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今回はサッカー・Jリーグやラグビー・リーグワンのクラブを担当し、「THE ANSWER」で食事・栄養に関する連載を担当している公認スポーツ栄養士・橋本玲子氏とともにオリンピックを通して食の課題を考える。後編ではパリ五輪の組織委員会がフード・ヴィジョンに関して打ち出した6つのコミットメントから、アスリートのパフォーマンスと地球環境の配慮への課題が浮かび上がる。(前後編の後編、取材・構成=長島 恭子)
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4年に1度のオリンピックは、スポーツ栄養にとっても非常に重要な大会です。というのも、スポーツや社会、経済などあらゆる面で影響を及ぼす世界最大規模のイベントで提供される食事は、今後、スポーツの世界におけるスタンダードな食事の考え方になるからです。
実はスポーツ栄養の歴史は浅く、盛んになったのは1980年代。元々は、「競技力向上のために何をどのように摂取すべきか」を解決するための、運動生理学の研究学問として始まりました。
そのきっかけとなったのが、1984年のロサンゼルス五輪です。
それまでのオリンピックの食事は、たんぱく質や脂っこいメニューが多く、科学的根拠に基づいた食事や文化的、宗教的配慮はほとんど行われていませんでした。そこで、大会前、海外のスポーツ栄養に携わる栄養士等が中心となり、アスリートに適した基本的なメニューを確立する目的で、非公式で選手村の食堂のメニューについての調査を実施。これにより、栄養の重要性が認知され始めました。
続く92年のバルセロナ大会ではオリンピック史上初めて、選手村で提供される食事メニューに栄養表示がされるようになります。96年のアトランタでは、選手たちが気軽に栄養相談が出来る「Nutrition Information Center」というブースを設置。そして2000年のシドニーでは選手村で提供されるメニューに関する、初の栄養学的研究プロジェトが行われ、メニューの見直しや分析、選手からのヒアリングなどを基に、アスリートの栄養、文化的、宗教的ニーズに即したメニューが確立されます。