「ポカリスエット ブカツ応援キャラバン」名セッター竹下佳江さんが天理高校を訪問!
バレーボールで身長差に打ち勝つにはどうしたらいいのか――。2012年ロンドン五輪女子バレーボール銅メダリストで日本の名セッターとして名を馳せた竹下佳江さんがその“秘訣”を高校生に伝授した。
「身長が低くても、何か一番のものを持ちなさい」―
バレーボールで身長差に打ち勝つにはどうしたらいいのか――。2012年ロンドン五輪女子バレーボール銅メダリストで日本の名セッターとして名を馳せた竹下佳江さんがその“秘訣”を高校生に伝授した。
今月12日、大塚製薬による「ポカリスエット ブカツ応援キャラバン」の一環で奈良県の天理高校を訪れ、生徒への講演会を実施。その後、バレーボール部に自らの経験とテクニックを伝えた。
竹下さん自身、身長159センチとバレーボール選手としては小柄ながら、計3回の五輪に出場。長らく日本代表のセッターを務めてきた。4年前のロンドン大会では眞鍋政義監督のもとチームの精神的支柱となり、日本に1984年ロサンゼルス大会以来となるメダルをもたらした。
日本バレーボール史に残る名セッターが訪れるとあって当日の会場には多くの生徒が駆けつけた。講演会では生徒からの質問にも親身になって回答。竹下さんと同じ身長の女子バレーボール部員・山崎睦妃さん(2年生)に「身長の高くない選手はどうすればいいか」と問われると、「実業団に入った時に『身長が低くても、何か一番のものを持ちなさい』と言われました。プレーでいうと、小さいからこそディフェンスやつなぎの部分で誰にも負けないと思っていました。また個々でできるサーブの精度など、絶対的なものを持っていると生きていく道はあると感じました」と、自身の経験からアドバイスを送った。
自身も実践した“考える姿勢”
その後は男子バレーボール部を中心に約1時間にわたって直接指導。「高校生レベルにバレーボール指導をするのはほぼ初めて」という竹下さんは自身も実践していた“考える姿勢”と技術を惜しむことなく選手たちに教えた。
天理高男子バレー部は6月に行われた高校総体奈良県予選で2年ぶりの優勝を成し遂げ、通算5度目のインターハイ出場を達成。しかし今年のチームはそれほど身長が高くない構成だった。
「男子の中では比較的小さいチームだと聞いていたので、自分に近いところでお話できることはあるなと思っていました。そういったところで少しでも何か伝わればいいなと思って指導させていただきました」
こう語った竹下さんはプレーを細かくチェックしながら、丁寧に指導。トスからレシーブ、スパイクまで一連の攻撃の流れを作り出す練習では「身体の小さいチームだからこそできる形を覚えた方がいい。例えばトスを誰が受けた方が最終的に攻撃の中心になれるのかまで考えてプレーしてほしい。攻撃のバリエーションを増やすためには、トスなどのベースをしっかりと磨いてほしい」とアドバイス。身長差を跳ね返すためのポイントとして「組織力」を挙げた竹下さんは、一つずつのプレーの精度を高める必要性を何度も説いた。
竹下さんが最も伝えたかったこととは…
また、セッターをこなす部員からは「トスがちょっとずれたりするんです」、「攻撃をどのように仕掛けたらいいですか」などの質問を受け、ボールの落下点の予測、トスを上げる際の肘の使い方など専門的な技術も伝授した。
今回の訪問で竹下さんが高校生に最も伝えたかったこととは何なのか。
「『苦しむことで人は成長できる』だと思います。私は決していいことばかりを経験しているわけでなく、たくさん苦しい思いをしてきた分、自分では思っている。そういった部分が少しでも高校生の胸に響けばと思います」
竹下さん自身も決して順風満帆のバレーボール人生だったわけではない。特に00年シドニー五輪の最終予選を勝ち抜けず本戦出場権を逃し、そのショックから競技から離れた時期もあった。しかし周囲からのバックアップもあって復帰して以降はプレーする喜びを思い出し、日本代表に復帰して以降は司令塔としての役割をまっとうした。そんな苦しい時期を体感しているからこそ、逆境は自らを奮い立たせる機会でもある――。竹下さんのメッセージはインターハイを控える男子バレー部だけでなく、各部のティーンエージャーたちの胸に深く刻まれたに違いない。