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伊藤友広さん、舘野哲也さんが“親子で自宅でできるかけっこ教室”に登場

オリンピック選手が運動不足の子どもたちにオンラインで走り方を指導する。そんな取り組みがこのほど東京都心で実現した。

伊藤友広さんとイベントに参加した子供たち
伊藤友広さんとイベントに参加した子供たち

「ボルトは1歩で3m進みます」 都会の湾岸エリア児童に五輪選手がオンライン陸上教室

 オリンピック選手が運動不足の子どもたちにオンラインで走り方を指導する。そんな取り組みがこのほど東京都心で実現した。

「オリンピアンによる走り方教室~WANGAN ACTION オンライン走り方アカデミー~」と題したイベントが行われたのは9月27日と10月4日の2日間。登場したのは、陸上のアテネ五輪1600メートル4位の伊藤友広さんとロンドン五輪400メートル障害代表の舘野哲也さんだった。

 イベントを行った三井不動産レジデンシャル株式会社は経年優化の事業理念のもと、住民のコミュニティ形成促進をテーマとした「WANGAN ACTIONプロジェクト」に取り組んでいる。その一環であるスポーツアカデミーは東京・湾岸エリアにおいてスポーツを通じた地域コミュニティの醸成を目的として取り組んでいる、小学生向けのスポーツアカデミーだ。

 新型コロナウイルスの影響により、外で遊べなかったり、運動会が中止になったりした子どもたちのために“親子で自宅でできるかけっこ教室”を、株式会社Criacaoの運営により、今回はオンラインで実施することになった。

 限定100組の親子で行われたイベントには小学1~6年生までの児童と保護者が参加。第1回は「速く走るために運動神経を鍛えよう」、第2回は「速く走れるようになろう」というテーマで2回にわたり行われ、画面にはたくさんの子どもと保護者の顔が並んだ。

 スプリント指導のプロ組織「0.01 SPRINT PROJECT」を主宰し、これまで全国数万人の子どもたちに走り方を教えてきた伊藤さんは、第1回の冒頭で保護者向けに「子どもがどうやったら速く走れるか」について画面を使ってレクチャー。3段階に分けて説明した。

 1つ目は「運動機会」、2つ目は「全力を出す機会」、3つ目は「動作改善」だ。

「まずは子どもの運動機会がどの程度確保できているかが大切です。特に日頃からたくさん運動している子どもは足が速くなりやすい。2つ目に、低学年の子にありがちですが、ふにゃふにゃと走ってしまう。これを解決するため力の出し方を覚える。そして、最後に走り方を技術的に整えていくことです」

 加えて、速く走る上で「スピード=ピッチ×ストライド」という構造を解説し、「子どもなら身長と同じくらいのストライドになる」と説明。100メートル世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)は最大で1歩3メートルに到達することも明かし、子どもたちを驚かせた。

 第1回は「運動機会」「全力を出す機会」をテーマに実施。オンライン機能を使い、伊藤さんと舘野さんのクラスに分かれてのレッスンとなった。

運動機会が減少する都心の子どもたちの貴重な機会に

 伊藤さんのクラスでは走る際の正しい姿勢のレクチャーから始まり、地面を足の指5本で正しく蹴る力を鍛えるかかと上げ下げの動作など、さらには1秒5回のメトロノームの速度に合わせて腕振りに挑戦した。

「最初はうまくできなくてもやればやるほど、速いスピードに慣れて腕が動くようになってくる。それが練習をする意味なので、何回もやってみること大事です」などと声をかけ、個別に子どもたちの動作もチェック。計1時間にわたり、講義を行った。

 そして、1週間後に行われた第2回では「腕」と「脚」に分け、レベルを上げた指導を展開。走る際に腕振りで力を入れるポイント、空中で足を入れ替えるタイミングなど、走り方のテクニックについてレクチャーした。

 特に、子どもたちが懸命に取り組んだのは、スタートダッシュの姿勢だった。伊藤さんは片足立ちで体を地面に平行近くまで倒す「飛行機」のポーズを取り、その体勢から後ろ足を地面に置くと良いスタートの構えが取りやすいことなどを説明した。

「スタートする時は前足と後ろ足どっちが大事だと思う? 実は前足の方が大事なんです。前足で地面を押して出るから。スタートが上手になったら、50メートルなら0.1秒は縮まるので練習しましょう」

 子どもたちはリビング、寝室など、自宅のそれぞれの場所から保護者に動きをチェックしてもらいながら、生き生きとした表情でトレーニング。最後は2回の講義で教えた腕振り、足踏みの動作をサーキットトレーニングで行い、体に覚え込ませた。

 その後は伊藤さんと舘野さんが揃い、子どもたちの質疑応答に参加。「走っている時に腕が曲がってしまいます。どうしたらいいですか」「小学校の時は50メートルのタイムは何秒でしたか」などの問いに丁寧に答えていった。

 最後に、伊藤さんは「この2回でいろんなトレーニングをやりました。楽しかったな、体に効いたなと思うものはこれからも続けてください。速く走れるようになるためには、ただ走るだけじゃなく、どうやったら速くなるかなと自分なりにちょっと考えてみることが大事です」と呼びかけた。

 遊ぶ場所が少なく、春の外出自粛以降、運動機会が減少している都心の子どもたちにとっては貴重で充実した“夢レッスン”となった。

(THE ANSWER編集部)

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