“元FC東京コンビ”が復活 馬場憂太サッカースクールに石川直宏が登場
2019年の年の瀬。福岡・博多市内の商業ビルの屋上にあるフットサルコート、雨を吹き飛ばすような熱気で子供たちがボールを蹴っていた。そんな様子を見守っていたのが、JリーグのFC東京でMFとして活躍した馬場憂太さん。この場所で行われているサッカースクール「LUPINUS(ルピナス)サッカースクール」を主宰する36歳だ。
福岡の「LUPINUSサッカースクール」に元日本代表MFがやって来た
2019年の年の瀬。福岡・博多市内の商業ビルの屋上にあるフットサルコート、雨を吹き飛ばすような熱気で子供たちがボールを蹴っていた。そんな様子を見守っていたのが、JリーグのFC東京でMFとして活躍した馬場憂太さん。この場所で行われているサッカースクール「LUPINUS(ルピナス)サッカースクール」を主宰する36歳だ。
馬場さんは抜群のテクニックと高い得点能力を武器にして活躍。FC東京ユース時代にクラブユース選手権で得点王&MVPを獲得し、日本一になるなど非凡な才能を発揮するなど、クラブ初のトップ昇格を果たすと、U-18からU-20にかけて世代別代表を経験。その後は千葉、山形、東京V、韓国・大田を経て、13年に29歳の若さで引退。FC東京サッカースクールで指導を経験し、17年から「LUPINUS(ルピナス)サッカースクール」を立ち上げ、指導者に転身した。
去る12月26日に行われたのは、通常の教室とは異なり、ゲストを呼んだ特別スクールだった。馬場さんの元同僚で、FC東京で長年活躍した元日本代表MFの38歳、石川直宏さんらが駆け付けた。しきりに雨が降る悪コンディションながら、基礎的なシュート練習から実戦的なミニゲームまで。目を輝かせた地元の小学生とともに汗を流し、充実のひと時を過ごした。
馬場さんとは現役時代、6シーズン一緒にプレーした石川さん。18年1月に引退後は育成年代の指導を含め、幅広いサッカーの普及活動を行い、多忙の合間を縫って参加した。「憂太がこういう活動をやっていることはもちろん知っていたけど、どんな指導をしているか、それに子供たちがどんな表情でやっているか見てみたかった」という。
馬場さんは17年に川崎で最初のスクールを立ち上げ、翌18年春から福岡校を開校。現在は東京と福岡を往復しながら、週2日ずつ指導を行う。Jクラブのジュニアユースからオファーを受ける選手も出るなど、実績を積んでいる。「ゆくゆくは自分が育った三菱養和のように大きなサッカースクールを目指したい。その代表コーチ・監督として、さらにその上に行けるように」と思い描く。
(THE ANSWER編集部)
馬場さん、石川さんに共通する想い「サッカーがスポーツでも勉強でも活きていく」
ただ「必ずしもプロサッカー選手になれとは言わない」と言う。信念にあるのはサッカーを通じ、自身のように突き抜ける個を身に付けてほしいという想いだ。
そんな後輩の姿に、石川さんも目を細める。「とにかく向上心を持っている人間。もともとの前向きに取り組む姿勢に今まで積み上げてきた経験がプラスされて、とても楽しみ。何より“こうなりたい”という像が明確になっている」。一方で、自身も馬場さんに刺激を受けながら、さらなるステップアップを目指している。
「今、自分はサッカーをする子はもちろん、サッカーをしたことがない子も触れ合う機会がある。必ずサッカーをしてくれということじゃなく、人としてのベースになる“考える力”や“やり抜く力”が身に付くきっかけになれば、スポーツでも勉強でも活きていく。その土台が作れると、サッカーに興味を持つ人も増えていくと思うし、そういった形でも貢献をしていきたい」
サッカーに教育的価値を見い出し、競技を普及させたいという理想は馬場さんとも重なる。石川さんは「互いに目指すところは一緒。こういう風にいろんなアプローチをする指導者が増えていけば、楽しみな才能も増えていく。自分は自分、憂太は憂太で互いに成長していければ嬉しい」と語った。
この日のように、第一線で活躍したゲストを呼んだイベントは年1度開催しており、地方でサッカーをする子供にとっては願ってもない機会。2クラス約4時間にわたって指導し、各クラスの最後には馬場さん、石川さんがサインに応じ、締めくくった。Jリーグを沸かせた名手たちが福岡の地で巻いた種は、子供たちの成長につながっていくはずだ。