[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

早く競技を選ばないと「遅れが怖すぎる」 米国のマルチスポーツ、子どもたちの重圧と育成のジレンマ

「スポーツサンプリング」という概念の提案

 だからといって、筆者は、ひとつの種目に絞ったほうがよいといいたいわけではない。現実にあわせて「マルチスポーツ」という言葉を広げることで、よりよいアスリートの育成と複数種目の経験や楽しみを両立できるのではないか。

 たとえば、種目を絞りたい場合でも、オフの期間を設けて、その間は別の種目を通じて、専門種目の向上を図る「クロストレーニング」という考えを取り入れてもよいのではないか。体の同じ場所に繰り返し負担がかかることを避けることにもなる。また、マルチスポーツといっても、シーズンごとに種目を変えるだけでなく、「スポーツサンプリング」という概念を使って、興味のあること、おもしろそうなことを、ちょっとお試しでやる機会を多く持てるというのもよいのではないだろうか。

 それに、ひとつのことをやり始めたら、やり遂げなければいけない、とするのではなく、ちょっと他の種目もやってみたいし、また、戻りたくなったら、もともとやっていた競技に戻れるといいのではないか、と思う。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

1 2 3

谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
CW-X CW-X
lawsonticket
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集