早く競技を選ばないと「遅れが怖すぎる」 米国のマルチスポーツ、子どもたちの重圧と育成のジレンマ
「スポーツサンプリング」という概念の提案
だからといって、筆者は、ひとつの種目に絞ったほうがよいといいたいわけではない。現実にあわせて「マルチスポーツ」という言葉を広げることで、よりよいアスリートの育成と複数種目の経験や楽しみを両立できるのではないか。
たとえば、種目を絞りたい場合でも、オフの期間を設けて、その間は別の種目を通じて、専門種目の向上を図る「クロストレーニング」という考えを取り入れてもよいのではないか。体の同じ場所に繰り返し負担がかかることを避けることにもなる。また、マルチスポーツといっても、シーズンごとに種目を変えるだけでなく、「スポーツサンプリング」という概念を使って、興味のあること、おもしろそうなことを、ちょっとお試しでやる機会を多く持てるというのもよいのではないだろうか。
それに、ひとつのことをやり始めたら、やり遂げなければいけない、とするのではなく、ちょっと他の種目もやってみたいし、また、戻りたくなったら、もともとやっていた競技に戻れるといいのではないか、と思う。
(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)
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