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戦力外通告は「負けなような気がして…」 自ら引退した元巨人・池田駿さんが超難関試験に受かるまでの“7000時間”

プロ野球はシーズン終了が迫り、今季も12球団で100人を超える選手が戦力外通告を受けている。ここで選手がイメージする第2の人生は、現役続行をはじめとして何らかの形で野球に関わり続ける姿が圧倒的に多い。ところが、自ら現役を退き、猛勉強の末に公認会計士試験に合格した元選手がいる。巨人と楽天でプレーした池田駿さんは、なぜ自ら引退を選び、超難関資格を手にすることができたのか。意外に見える選択の裏側を語ってくれた。 (取材、文=THE ANSWER編集部、羽鳥慶太)

現役時代、巨人と楽天でプレーした池田駿さん【写真:産経新聞社】
現役時代、巨人と楽天でプレーした池田駿さん【写真:産経新聞社】

2軍で防御率1.52「一番良かった年」に選んだ“任意引退”

 プロ野球はシーズン終了が迫り、今季も12球団で100人を超える選手が戦力外通告を受けている。ここで選手がイメージする第2の人生は、現役続行をはじめとして何らかの形で野球に関わり続ける姿が圧倒的に多い。ところが、自ら現役を退き、猛勉強の末に公認会計士試験に合格した元選手がいる。巨人と楽天でプレーした池田駿さんは、なぜ自ら引退を選び、超難関資格を手にすることができたのか。意外に見える選択の裏側を語ってくれた。 (取材、文=THE ANSWER編集部、羽鳥慶太)

 3年前、2021年の10月末。池田さんは自ら「プロ野球選手を辞めたい」と当時所属していた楽天に申し出た。この年、1軍登板はなかったものの、2軍では防御率1.52。「思いついたものではなく、8月くらいから考えていたんです」と、自分の人生について考え抜いた上での決断だった。

 2020年のシーズン途中に、巨人から楽天へトレードされて2年目。前年は1軍21試合に登板していた。ところがこの年、2軍でいくら好投を続けても、1軍からのお呼びがかからない。「プロ5年間で一番状態も、感覚も良かった年でした。それで呼ばれないということは、求められるものとマッチしていないんだなと考えて……」。1軍から一度でも呼ばれれば、もう1年続けてみようと思っていた。秋に入ってそれが「ない」とわかった時、新たな道に進む覚悟ができた。

 プロ野球選手が引退する年齢は、平均すれば28~9歳だとずっと頭にあった。当時の池田さんはまさに、29歳の誕生日(11月29日)を迎える寸前。戦力外通告を受け、この世界を去っていく選手も多い中で「私、とにかく負けず嫌いで……。クビって言われるのって、負けなような気がして。だったら潔く」という考えもあった。

 決して力が落ちたり、限界を感じての選択ではなかった。それを示すかのように、球団フロントや当時の石井一久監督からは「考え直してほしい」との言葉があった。2軍の本拠地で行われた1時間ほどの面談では、次の道に公認会計士を考えていると説明し、了承された。

 戦力外通告を受けて自由契約になる場合と違い、引退後も球団に権利が残る“任意引退”には、引退理由を記入した申請書を提出する必要がある。池田さんはセカンドキャリアのためという理由で受理され、この年は松坂大輔投手(元西武)や斎藤佑樹投手(元日本ハム)ら、6人しかいなかったうちの1人となった。

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