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20歳で金メダル→スパッと引退 恋したカエルを求めて修士課程2年生に…今の目標は「絶対に博士号を」――ボクシング・入江聖奈

今の目標は「絶対に博士号を取る」だ【写真:松橋晶子】
今の目標は「絶対に博士号を取る」だ【写真:松橋晶子】

人生のシンプルな指針「どうせやるなら自分の好きなことに時間を使いたい」

 ボクシング時代の栄光を過去にして、やりたいことを見つけてドンドン進んでいる。一つのことに一心不乱にのめりこめるのも、それもまた入江らしい。

「好きな一つのことに打ち込むのは楽しいですね。私だってパリオリンピックを目指しながら、今のカエルの研究ができていたら凄く幸せだと思いますけど、そうはできませんからね」

 二つ同時になかなかのめりこめないというだけ。だからボクシングから離れても、好きであることに変わりはない。

「ボクシングは見ていますよ。一緒に日本代表で戦ってきた人たちの試合もそうですけど、プロの試合もちょくちょく、と。ボクシングの感覚が衰えるのが嫌なので、なるべく見るようにはしています。ボクシングから離れた以上、感覚が磨かれることはないとしても、頑張って現状維持にできるように」

 最近、研究の合間を縫って走り始めている。思った以上にスタミナがなくなっていたことは、ちょっとショックな発見だった。

「運動を再開してみて、まず思ったのは13、4年もボクシングをあれだけやっていたのに2年ほど動かなかったら、これほどになっちゃうのか、と。何か割に合わないよなってブツブツ言いながら走ったりしています」

 現在は修士課程の2年生。ひとまず目標は「絶対に博士号を取る」。ただ、その後のビジョンは定まっていないという。カエルの研究とトビムシ集めに奔走しながら、自然と見えてくるものだと思っている。

 アスリートから研究者へ。まさに真逆と言っていいほどのチャレンジを楽しみ、何より毎日をいきいきと過ごしている。

 入江は言う。

「いい人生なのは間違いないと思います。どうせやるなら自分の好きなことに時間を使いたいなっていうのがあって、それができているわけですから。好きなことだったらいくら大変でも苦にはならない。これからも好きなことをやっていけたらいいなって思います」

 好きなことだから、トコトン頑張れる。

 研究者になっても、入江聖奈は自分らしくあり続ける。

(後編に続く)

(二宮 寿朗 / Toshio Ninomiya)


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二宮 寿朗

1972年生まれ、愛媛県出身。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2006年に退社後、「Number」編集部を経て独立した。サッカーをはじめ格闘技やボクシング、ラグビーなどを追い、インタビューでは取材対象者と信頼関係を築きながら内面に鋭く迫る。著書に『松田直樹を忘れない』(三栄書房)、『中村俊輔 サッカー覚書』(文藝春秋、共著)、『鉄人の思考法~1980年生まれ戦い続けるアスリート』(集英社)、『ベイスターズ再建録』(双葉社)などがある。

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