収入減でもコーチ退任→現役復帰 止められた「何で?」 2軍球団、中米渡り投げた40歳の人生観
プロ野球の戦力外通告期間が終わり、今年も現役生活の岐路に立たされる選手がいる。チームとの縁の切れ目が、果たして潮時なのか――。そこに疑問を感じて行動した選手がいる。ソフトバンクなどNPB3球団で15年間プレーした藤岡好明投手は、一度手にしたコーチの椅子を捨て、投げ続ける道を選んだ。なぜこのような選択をできたのか。日本では希少だが、世界では当たり前だったという価値観とは。

NPB3球団で投げた藤岡好明、コロナ禍で強いられた「中途半端な決断」
プロ野球の戦力外通告期間が終わり、今年も現役生活の岐路に立たされる選手がいる。チームとの縁の切れ目が、果たして潮時なのか――。そこに疑問を感じて行動した選手がいる。ソフトバンクなどNPB3球団で15年間プレーした藤岡好明投手は、一度手にしたコーチの椅子を捨て、投げ続ける道を選んだ。なぜこのような選択をできたのか。日本では希少だが、世界では当たり前だったという価値観とは。
「自分が描いた終わり方と、ちょっとズレがあったんですよね。コロナの時期だったので、誰しもそういう部分はあったと思うんですけど……」
たった5年前の2020年、世界は新型コロナ禍にあった。移動が厳しく制限され、球界もシーズン短縮、観客の制限、声援禁止と異例づくしの1年。この先どうなるのかという不安が世の中を覆いつくしていたオフに、藤岡は当時所属していたDeNAから戦力外通告を受けた。同時にコーチ就任の誘いもあった。
誰もが受けられる提案ではない。藤岡は引退して指導者となる道を選んだ。しかし、すっきりした決断ではなかったという。世間の空気に、選択を迫られたような気がしていたのだ。
「どうなるかわからない世界に、ギャンブル的に身を投じる選択はできなかった。やめざるを得ないと、自分に言い聞かせたところがありました。その時は飲み込んだつもりだったんです」
2021年、2軍投手コーチとして選手育成に携わった。やりがいはあったが、世の中が平常に戻るにつれ「自分を疑い始めたんです」。本当に選手をやめる必要があったのかと。「中途半端な決断をしてしまったかなと。半年も経った夏頃にはそう思ってましたね。それまでの人生で、外的要因で何かをやめたことがなかったので」。シーズンが終わると、思い切った手段に出た。
DeNAを退団し、独立の九州アジアリーグを戦う火の国サラマンダーズに加入。投手コーチと兼任ではあるが、現役復帰する道を選んだのだ。DeNAにとっては意外な申し出だった。指導者の資質があると見込んで任せた上に、収入面でも比べ物にならない。「止められました。『何で?』って。最終的には球団社長とも話しました」。納得してから野球をやめたいとの思いを、貫き通した。
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