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ジャッジの恩師にもらった「座右の銘」 逆輸入ドラフト候補、根岸辰昇が慶応高→米大学で遭遇した“現実”

慶応高(神奈川)で2018年夏の甲子園にも出場したスラッガーが、米国の大学で腕を磨いて帰国。24日に行われるプロ野球ドラフト会議での指名を待っている。24歳の根岸辰昇(たつのり)内野手は、慶大への内部進学者が大半の高校から、なぜ米国に渡り、現地で何を見たのか。グラウンドの中にとどまらない、貴重な経験の数々を明かしてくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部、羽鳥慶太)

根岸はこの夏、大リーグ球宴の前座となる試合で4番を打った【写真:本人提供】
根岸はこの夏、大リーグ球宴の前座となる試合で4番を打った【写真:本人提供】

「不安を覚えるヒマもないくらい…」必死に切り開いた未開のルート

 慶応高(神奈川)で2018年夏の甲子園にも出場したスラッガーが、米国の大学で腕を磨いて帰国。24日に行われるプロ野球ドラフト会議での指名を待っている。24歳の根岸辰昇(たつのり)内野手は、慶大への内部進学者が大半の高校から、なぜ米国に渡り、現地で何を見たのか。グラウンドの中にとどまらない、貴重な経験の数々を明かしてくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部、羽鳥慶太)

 子供のころから、高校球児だった父の影響で大リーグが身近にあった。根岸の憧れの打者は、自らが生まれる1年前に引退している通算335発のスラッガー、ダリル・ストロベリー(元メッツなど)だ。慶応高2年の頃にはもう、メジャーリーグに「行きたい」ではなく「行く」と決めて、そこまでの道を考え始めた。

 3年夏には慶応高の「5番・中堅」として夏の甲子園に出場した。大会を終え、同高の森林貴彦監督に米国の大学へ進みたいと伝えたが「どうするの? 本当に行くのか?」と、最初は冗談だと思われた。前例がほとんどないルートを切り開く過程では「不安を覚えるヒマもないくらい、必死でした」という。

 留学を取り扱うエージェントに、自身の打撃映像を米国へ送ってもらった。雲をつかむような状況でのアピールから、声がかかったのはカリフォルニア州のオレンジコースト短大。ヤンキースのアーロン・ジャッジをアマチュア時代に指導したことで知られ、日米大学野球の米国代表でもコーチを務めたことのある名将ジョン・アルトベリ氏が率いるチームだった。

 アルトベリ氏は、2020年1月に元NBA選手のコービー・ブライアントらとともにヘリコプターの墜落事故で亡くなった。2019年の秋に入学した根岸が指導を受けたのは短い期間だったが、強烈なインパクトを受けたという。

「僕の座右の銘にさせてもらっているのですが『make today great day(きょうを最高の日にしよう)』という言葉が印象に残っています」。他にも「ミスした時こそ、堂々としていろ」という言葉をかけられた。「日本だと、三振したら走ってベンチに帰りますよね。でもそういう選手を、メジャーのスカウトは絶対に取らないと教えてもらいました」。日米の違いと、米球界で生き残るための流儀を教えてくれた指導者だった。

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