SNSに動画投稿→3日後に契約 四国ILの元MVP・平間凜太郎が掴んだ海外再挑戦のチャンス
動画投稿の6日後にメキシコへ出発
「Come to play winter ball in mexico(メキシコのウインターリーグに来ないか)」
メキシコでのプレーはないと考えていたし、「イヴァンさんは冗談を言う人だから、そうなんだろうなと思っていた」。社交辞令のつもりで「ありがとう。すぐに挑戦したい」と返信したら、投球のビデオの送信依頼や待遇面の提示などのやり取りになった。「本当かもしれない」と代理人に連絡して交渉を進めてもらい、17日の夕方には契約が決定。18日夜に翌日出発の航空券が送られてきた。
「チケットが届いてから20時間後に飛べと言われて、さすがにそれは難しいので、1日遅らせてもらいました」
動画投稿から6日後の20日、メキシコへ向かった。
「激動の1週間ですよね。実は、僕はSNSをまったくしてこなかった人間だったんです。1つのことに熱中しちゃうので、中毒的にハマっちゃって、野球を疎かにしてしまうのでは、っていう不安があったので」
しかし、昨年のメキシコ行きの時に、高知の後輩から勧められてインスタグラムを始めた。「SNSをやらなかったら、つながりがまったくなくなるじゃないですか。僕たちを見捨てる気か、今すぐ始めろ、と半分脅されました(笑)。実際、SNSを始めても野球には影響なかったですし、上手に使っている選手もいる。自分で発信していくのは必要だから、この冬から本格的に始めようと思ってやったら、すぐにこうなった。驚いています」
DMでオファーしたレッドデビルズのチーム編成を担当するイヴァン・テラサスさんは言う。
「メキシコから帰国した後もリンタロウのSNSはチェックしていた。去年よりも球速が上がっていたので、投稿を見てすぐに連絡した。リンタロウは最初、冗談だと思った? たまにはこういう面白い形で契約が実現することがあるものですよ」
平間のナイアガラカーブの投稿は、現時点で再生回数が約14万まで伸びている。
このほどYouTubeチャンネルも始めた。
「メキシコの野球界の雰囲気も伝えたいので、それならYouTubeだろうと思って始めました」
10月12日に開幕したリーグで、平間は10月27日に初先発して5回を投げて被安打2、7奪三振、無失点。11月26日までのレギュラーリーグの後、上位2チームのプレーオフが12月3日から行われる。SNSでつながったチャンスを生かして、来年のメキシカンリーグの契約を勝ち取ることを目指している。
■平間 凜太郎(ひらま・りんたろう)
1994年5月生まれの「大谷世代」。東京都大田区出身。5歳で野球を始め、中学3年で投手としてリトルシニアリーグの日本代表に選ばれて米国へ遠征した。中日ドラゴンズ・柳裕也はその時のチームメート。山梨学院大附属高(現・山梨学院高)、専修大、社会人の新日鉄住金東海REX(現・日本製鉄東海REX)を経て、プロを目指して2020年に四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスに入団。2022年、前期終了後の6月に退団してメキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズに入団。7月にオアハカ・ウォーリアーズに移籍したが1試合登板しただけで、8月に帰国して高知に復帰。2023年のシーズン後に退団し、メキシコ・ウインターリーグのレッドデビルズと契約。187センチ・97キロ。右投げ右打ち。
(松本 行弘 / Yukihiro Matsumoto)