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日本唯一の“医師兼プロ野球選手”が引退決断 2軍球団で進化も…痛感した1軍との差「上に行くのは無理」

パワーをどう投球につなげるか…投球は医師としての今後にも貴重な時間【写真:羽鳥慶太】
パワーをどう投球につなげるか…投球は医師としての今後にも貴重な時間【写真:羽鳥慶太】

医師の目で果たした球速アップ…それでも引退決意の理由

 元々、筋トレではスクワットで190キロ、デッドリフトで240キロを上げるだけのパワーを持つ。「重さを扱うという意味では、12球団の上のほうの選手と比べても負けないくらいの身体の強さはあったんですが、それをボールを投げるところになかなかつなげられていなかった。筋力上の数字はあるのに、それをメカニクスにつなげる部分が苦手だったんです」。メディシンボール投げやジャンプを通じ、身体の動かし方を改善していった。

 シーズンに入ると、140キロそこそこだった直球の球速が3~4キロ伸びたという。「真っ直ぐでファウルを取れたりとか、押し込めるようになりましたね。打者の空振り率も上がりました」。2軍の打者とはしっかり勝負できると感じながら、シーズンを戦ってきた。

 整形外科の医師としても、貴重な時間だった。自身を材料にして、パフォーマンスの変化を検証したわけだ。「メカニクスがうまく動作するようになったんです。ボールのラインが出て、コントロールも上がって、四球率が下がりました。医学的な部分とテクニックの部分というのは、本来もっと密接に関わるべきだと思います。切り離して考えられがちなんですが」。ただ、成績が向上する中で別の思いもあった。

「結果が出て、手応えもあった。これくらいはやれるんだって思う一方で、これぐらいやれても、上に行くのは無理だろうと感じることもあったんですよね」

 ウエスタン・リーグでは各球団、1軍主力級の打者が調整出場することもある。そんな時に感じさせられたのが、積み重ねるだけではどうしようもない部分の差だったという。

「打たれる時って、何かしらの理由があるんです。失敗には理由があって、成功には理由がない場合もある。ただここでは、完璧に投げ切ったと思っても打たれたり、打ち取ってもそれが犠牲フライになったりということがあったんです。そこに出るのが“差”かなと思わされましたね」

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