「10人いたら10人反対」超安定企業を辞め2軍球団へ オイシックス知念大成の熱すぎる思い「ドラフト30位でも…」
橋上監督が認める外野守備「理想的な走り方をしている」
最終的には会社も「ドラフトされるのを楽しみにしているからな」と送り出してくれた。ただ周りは「家族も含めて、10人いたら10人反対という感じでしたね…」。2つ上の兄、大河さんだけが「一度きりの人生だから、勝負したほうがいい」と後押ししてくれた。
50メートルを走れば5秒8、打球速度は最速176キロ。投手時代には最速150キロを誇った身体能力の塊だ。橋上秀樹監督は能力の高さを認めたうえで「今は走塁にしてもイチかバチかになってしまう、いい時はいいけど、悪い時はその反対。それだとNPBでは使うのが難しい選手になってしまう」と次の課題を突きつける。知念も「監督からは『考えて取り組め』と口酸っぱく言われています」とレベルアップにいそしむ日々だ。
外野守備では「捕れるボールは全部取るつもりでやっています、景色もいいし」と、猟犬のように右中間、左中間の打球をどこまでも追う。指揮官も「見えないファインプレーも多いんですよ。外野手としては理想的な走り方をしていますし」と高く評価する部分だ。走る時に体の上下動がなく、目線がぶれない。「忍者みたいな走りだよね」と、NPB入りへの大きな武器になると見ている。
挑む世界の、怖さを感じるできごとがあった。3月に日本ハムの本拠地エスコンフィールドで行われた教育リーグで、衝撃を受けた。オリックスからFA移籍した山崎福也投手の前に、バットを折られ遊ゴロ。「最初にあれを見られたのは良かったです。レベルが違う球でした。ボールを操っていたというか……。そこを打っていかないと」。
残してきた数字は、NPBの2軍でなら十分通用することを示している。ただ見なければならないのはその先だ。残り3か月ほどのシーズンで、どこまで進化できるか。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)