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脱サラ→37歳でドラコン世界王者になった最長446y日本人 かつて65kgの細身だった4児パパの軌跡

1日300回の懸垂で上半身を鍛える三隅直人【写真:本人提供】
1日300回の懸垂で上半身を鍛える三隅直人【写真:本人提供】

17年間勤務の会社を退職して成果「決断して良かった」

 そして、競技を開始して5年の2016年に全国大会で初優勝。翌17年にプロに転向。「ゴルフに集中しよう」と17年間勤務した会社を22年に退社した。今年までに全国大会は5連覇も含めて9度優勝。22年10月、米フロリダ州で開催されたアルティメット・ロング・ドライブ・ワールド・チャンピオンシップのプロ35歳以上の部では、313ヤード飛ばして優勝した。

「妻は早くから『ゴルフに専念した方がいい』と言っていましたが、私の方が決断できずにいました。ただ、海外の試合を経験するようになって、『もっと世界のすごい選手と戦いたい』と思い、時間を作るために会社を辞めました。世界に出れば私は小柄な選手。なので、総合力で戦っています」

 言葉通り、海外勢には2メートル級、100キロ級の選手が大勢いる。その中、三隅は契約したHONMAのドライバーで、スピン量の調整、球筋を打ち分け、ボールを風に乗せるなどして対抗。飛ばし屋はパワーに合わせて硬いX(エキスラ)のシャフトを使うが、あえて軟らかいR(レギュラー)にし、大きなしなりで飛ばすことを選択。ついには今年9月28日、年齢制限のないULD(Ultimate Long Drive)世界選手権で352ヤードを記録し、初優勝を飾った。

「Rシャフトで競技会に出始めたのは僕が初めてだと思います。会社を辞めた後に成果が出たことはうれしいですし、決断して良かったです」

 ただ、今年の獲得賞金額は海外で計190万円、国内で計300万円。スポンサーも付いているが、遠征費などを考慮すると、ドラコン競技だけでは生活できない現実がある。そのため、三隅は自身が設けた室内練習場でジュニアや一般ゴルファーをレッスンしている。

「独立した時点で子どもは3人。今は4人です。ドラコン競技で自分が何歳まで勝負できるかは分かりませんが、自分はゴルフで生きていきます。そして、この競技の面白さを広く伝えていきたいので、ゴルフ番組にどんな形でも出させていただきたいです」

 退路を断って世界で勝負する37歳。現在は日本プロフェッショナルロングドライバーズ協会の会長も務めており、三隅は「私のように未経験からでも努力をすれば輝くことができます。ぜひ、多くの方々に参加してほしいです」と言った。今後も責任者として競技人口を増やす活動をしつつ、日本一、世界一の座を防衛する決意だ。

■三隅直人(みすみ・なおと)

 1987年9月27日、山口・宇部市生まれ。高校卒業後、西部石油に就職。21歳でゴルフを始め、24歳でドラコン競技の練習を開始。地道なトレーニングと練習で飛距離を伸ばし、2016年に全国大会初優勝。以降は19年を除いて日本一になり続け、20年からはLDJ日本ドラコン選手権で5連覇。17年にプロに転向し、競技専念のために退職。22年、35歳以上の世界大会で優勝を飾り、今年9月、年齢制限のないULD(Ultimate Long Drive)世界選手権で優勝。173センチ、90キロ。

(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)

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