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スポーツトレーナーの職業に求められる資格、能力 先輩2人が推奨「絶対に向いている」興味の中身

中野さんは「日本では特に資格がなくてもトレーナーの仕事は可能」と解説【写真:中戸川知世】
中野さんは「日本では特に資格がなくてもトレーナーの仕事は可能」と解説【写真:中戸川知世】

フィジカルトレーナーを目指すならどんな資格が必要?

中野「泉さんがみているトップアスリートは、それこそ成長期から国際大会を経験しますよね。トレーニングの専門家がきちんと教育をしないと、ケガのリスクも高まりますし、競技生活が短くなる恐れがある」

泉「はい。ですから、フィジカルトレーナーの仕事は近年、選手の教育も含まれる傾向にあります。国内外の合宿や遠征では、いつもいるスタッフを帯同できないことも多いので、自分で考え、決断しなければならない場面も増えます。他力のケアに頼らず、主体的に体と向き合う必要があります。ですから選手たちも体力維持や体調管理の知識がある程度必要です。

 準備運動に限らず、クールダウンや休養、睡眠、栄養、メンタル、時差調整の方法など、自分で出来るコンディショニングについて学ぶことが当たり前になってほしいですね」

――これからフィジカルトレーナーになりたいと考えている方は、まずはどんな資格を取得するとよいですか?

中野「実は現在、日本では特に資格がなくてもトレーナーの仕事は可能です。また、フィジカルトレーナーの国家資格はなく、民間の資格のみとなります。しかし、国内の資格でも海外の資格でもいいので、何か一つ資格を取ると自信になると思います。また、資格ではありませんが、体育大学や専門学校で身体についてしっかり学ぶ道もよいと思います」

泉「国際的なライセンスで言うと、スポーツ医学やヘルスフィットネスを学ぶならば、中野さんと私に共通する国際的な資格として、ACSM(アメリカスポーツ医学会/※1)のライセンスが挙げられます。世界最先端のトレーニング科学やプログラムを学べるNSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会/※2)が代表的です。あとは日本トレーニング指導者協会(JATI-ATI)、NESTA(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)あたりもあります」

――アスレティックトレーナーやコンディショニングトレーナーを目指すなら?

泉「国際的な資格ではアメリカでの認知度が高く準医療従事者としてリハビリ・応急処置を学べるNATA(全米アスレティックトレーナーナーズ協会/※3)が扱うライセンス。国内資格であれば『柔道整復師』『はり師』『きゅう師』『あん摩マッサージ指圧師』といった国家資格を複数取得すると、仕事の場が広がります。民間のケアやリラクゼーション療法の資格を取得する方もいますよ。

 また、メディカルトレーナーは『理学療法士』『作業療法士』といった国家資格の取得が必要です。リハビリテーションの領域でも、国際的な資格、国内でメジャーな資格と色々あるので、自分がどの方向でトレーナーになりたいかを考えながら調べてみるといいですよ」

中野「ただ、若いトレーナーのなかには器用貧乏ならぬ『資格貧乏』になっている方もいますが、片っ端から資格を取りまくる必要はありません。なぜなら、クライアントが最終的に求めるものは、資格ではなく、『結果を出してくれるか、くれないか』です。ある監督が、『どんなに高学歴で立派な資格を持っていても、結果を出せないトレーナーは現場には必要ない』とおっしゃっていたのが印象的でした」

泉「私たち二人が共通して抱くのは、トレーナーを目指す方、若いトレーナー方は、資格を取って終わりにならないで欲しい、という気持ちですよね。何か一つ資格を取って終わりではなく、どんどんブラッシュアップを続けていけます。トレーナーのなかでも、方向転換できますし」

中野「体をみる、という点はどの職種も共通しているので、それが可能ですよね。実は私も、最初は理学療法士を目指して勉強していたんです。でも、途中で『ちょっと違うな』と思い、フィジカルトレーナーに方向転換したんですよ」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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