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スポーツでよく聞くフィジカルトレーナーはどんな仕事? 第一線で活躍する2人が知る魅力とやりがい

泉建史さんは日本代表の多くの競技に携わってきた【写真:中戸川知世】
泉建史さんは日本代表の多くの競技に携わってきた【写真:中戸川知世】

新しい競技をみるとはどう取り組む?

――お二人が現在に至るまで担当した競技を教えてください。

泉「私は主に審美系競技(体操・トランポリン他)、ウエイトリフティング、陸上、水泳、アーチェリー、アーバンスポーツなどの日本代表にかかる個人競技、団体競技ではラグビー、サッカー、バスケット、アメフトなどです。また、競技を問わず、女性アスリートや高地トレーニングのプロジェクトも医科学支援をする立場で担当しています」

中野「テニス、卓球、陸上、 バスケットボール、バレーボール、トランポリン、クライミング、トライアスロン、ボート、パラ卓球、パラ車椅子陸上、バレエ……。多くの競技は自分自身でプレーした経験がなく、オファーを受けてから勉強するケースがほとんどですね」

――スポーツトレーナーはお二人のように、様々な競技をみるのが一般的なんでしょうか?

中野「いえ、例えばサッカーや野球など、一つの競技に絞り、活動する方ももちろんいます。私の場合、オファーを受けた際に、その競技や選手に興味があるか否かで仕事を受けるかどうかを決めるため、自然と、競技種目が増えた、という感じです。ちなみに、学生時代は水泳の選手でしたが、水泳を担当したことは一度もありません(笑)」

泉「中野さんは水泳でしたか! 私は陸上競技出身ですが、縁あって経験していない競技を担当する機会にも多く恵まれました。その度に、一人ではできないことを痛感することの連続(笑)ですが、コーチ、トレーナー、医科学専門家の皆様に助けていただいています」

――新しい競技をみるときはどのように取り組みますか?

中野「私は最初の1か月間でルールや競技を学び、その後、プレースタイルや動作、関節の状態などを見て、動作分析をしながら選手の課題を洗い出します」

泉「私も同じです。あとは都度、コーチにヒアリングをしたり、関連する文献を読み込むなど、競技を学びながら取り組んでいます。この仕事を初めて20年以上になりますが、いまだに日々、勉強です。ただ、競技種目や年代に関わらず、すべての運動は一つにつながっている。年々、その感触が強くなっていますが、中野さんはどう思われますか?」

中野「泉さんが言われる通りだと思います。何に重きを置くかは競技や種目によって異なれど、人体の構造は同じ。新たに担当する競技のトレーニングを構築するうえで、過去の経験がヒントになりますよね」

泉「そう、例えストレッチ一つをとっても、他競技で得た知識や経験は参考になります」

――初めて担当する競技でも結果を出さなくてはいけない。かかるプレッシャーは非常に大きいですね。

中野「最近はトレーナーもメディアに取り上げられ、注目されるようになりましたが、トレーナー業も他の仕事と同様、華々しい話はほんの一握りです。私もこれまで、自分のトレーニングが原因で選手にケガをさせたことも、成績が下がったこともたくさん経験しています。選手との信頼関係を、一度、失ったこともあります。どの仕事も同じだと思いますが、優勝した、メダルを獲った、などの嬉しい経験は1%。99%は大変な、苦しい経験です」

泉「トライ・アンド・エラーはとてつもなく多い仕事ですよね」

中野「頭を痛めることもありますし、改善策を模索していく過程は苦悩です。しかし、そこで回答を見つけ、セッションの中で活かし、回復していい結果が出せた日の喜びは何物にも代えがたいほど、たまらないですよ」

泉 「何事にも代えがたいという気持ち、よくわかります。ある人の人生において、体が改善したり、変化することで、その方の自信につながったりすることを何度も観ています。取り組みには気持ちが動かないと、体も変わらない。そう思うとやりがいを感じますね」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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