真の世界トップを狙う日本No.1ランナー がむしゃらな田中希実のプロ転向決断の裏側
ジュニアへ「もっと速くなりたい気持ちがあれば、自然と繋がることもあるよ」
約40分の会見。広くなった未来を前に、「したい」という前向きな言葉が止まらなかった。
「やっぱり世界のトップで戦いたいのが一番の目標ですが、その目標に向かって努力する中でいろんな方に影響を与えていきたいです。陸上界だけではなく、社会全体だったり、よりたくさんの方の目に留まる選手になっていきたいなと思っています。
YouTubeやテレビで私を見たら『モチベーションが上がる』と言ってくださる市民ランナーの方々がいました。『陸上をしたい』『もっと速くなりたい』と思ってくれる子どもたちがいるという話を直接いただくことも多くなっていて、私自身は特に意識しなくも『力になれることがあるんだ』と思いますし、私自身にも力になっていることが多いです。
今回の決断で『凄いな』『憧れる』と思ってくださる子もいるんじゃないかなと思うけど、私自身はこれからが本当に勝負と思っています。プロになりたいと思ってやってきたというより、『より速くなりたい』と求める中の一つのチャプターだと思っている。
ジュニアの子たちには、選択肢の一つにプロの道もあるんだと思うだけじゃなく、『もっと速くなりたい』と漠然とした強い気持ちを私のように持つことで、『自然とこういった形に繋がることもあるよ』と伝われば。そういうスタイルを見せる一助になれば凄く幸せなことだなと思っています」
21年東京五輪では、1500メートルで日本人過去最高の8位入賞。今年は8月にブダペスト世界陸上を、来年夏にはパリ五輪を控える。赤い「NB」の同社ロゴが入ったボードの前でファンと子どもたちへ投げかけた。
「今後も皆さんと高め合えることを楽しみにしています」
速くてカッコいい、がむしゃらで結果も出す。プロキャリアの第一歩は、明るい笑顔でスタートを切った。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)