五十嵐カノアに懸かる国際的発展の期待 上昇カーブ描く先に五輪メダルの夢
2020年の東京五輪でサーフィンが初めて実施される。日本でも若者を中心に親しまれているが、今回の五輪で大きな注目を集めることは間違いない。サーフィンは決められた時間内で技の難易度などで得点を競い合う。選手同士の駆け引きや、いい波を引き寄せる運など、競技スポーツとしての面白さを認識するきっかけになるだろう。
サーフィン界で注目度増す22歳、ライバルも一目を置く存在に
2020年の東京五輪でサーフィンが初めて実施される。日本でも若者を中心に親しまれているが、今回の五輪で大きな注目を集めることは間違いない。サーフィンは決められた時間内で技の難易度などで得点を競い合う。選手同士の駆け引きや、いい波を引き寄せる運など、競技スポーツとしての面白さを認識するきっかけになるだろう。
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日本にはメダル獲得が期待されている選手がいる。日本人の両親を持ち、サーフィンが盛んな「SURF CITY」として知られるカリフォルニア州ハンティントンビーチで育った五十嵐カノアだ。世界最高峰のチャンピオンシップツアー(CT)に、18歳だった2016年から本格参戦し、世界の海を転戦しながら実力を磨いてきた。「オリンピックを目指してCTで結果を残すことに集中する」と意気込んだ今シーズン。第3戦のバリ大会でCT初優勝を挙げるなど、序盤から好成績を残してランキング上位をキープし、10月中旬に東京五輪の出場権を暫定的に獲得(出場条件の中で最優先されるCTで男子上位10人になることが決定)。「金メダルをとる」という目標にまた一歩近づいた。
CTでは昨シーズン、自身初のトップ10入りを果たし、順調にトップサーファーへの階段を上がってきた。米国での関心も高い予選シリーズ(QS)の全米オープンで2連覇を達成し、トッププロとしての注目度も増した。2017年まで米国選手としてツアーに参戦してきたが、初めてサーフィンが実施される東京五輪に日本選手として出場を目指すことを決断。今シーズン途中、五輪まで1年を切った時期に「オリンピックでどういうプレッシャーを受けるのか誰もわからない。どういう準備をしていいのかというのはあまり分からなんで、それがチャレンジだと思う。今年よりも来年の方がもっとサーフィンをうまくなっていられるように、体をもっと鍛えて、マインドも磨いていきたい。オリンピックの日はどういう気持ちになるのかまだ分からないけどすごく楽しみ」と話していた。新しい目標が大きな刺激となり、それを成長の糧にしている。
身長180センチ、78キロの恵まれた体格からダイナミックなライディングが持ち味。近年は「Gym rat(ジムに入りびたりの人」と呼ばれるほどトレーニングにも力を入れ、筋力アップに成功。メンタル・トレーニングも取り入れている。昨季CTランキング7位に入ったコナー・コフィン(米国)は「身体能力が高く、技術的に優れていて精神的にも強い。昨年あたりから力強さが増したようにみえる」。ライバルも一目を置いている。
上昇カーブを描きはじめた先に、五輪という目標ができたことは五十嵐にとって抜群のタイミングと言える。しかも、日本での開催。本番が近づくにつれて、スポンサーやファンからの注目度が増すことは間違いない。「ほんとにタイミングばっちりで有り難いです。しっかりと力を入れてトレーニングをしないと。こういうチャンスを逃さないようにしたい。エネルギー溢れるパフォーマンスを見せてサーフィンという競技の面白さを知ってもらいたい」