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「日本は精神的に波がある」 豪州を熟知するドイツ人元Jリーガーが感じた違いとは

タフなオージーとナイーブな日本人…「日本の選手たちは精神的に波がある」

 オーストラリアの選手たちを指導してみて、最も日本との違いを感じたのは、どんな時でもひたすら前向きに取り組むことだった。

「彼らには不確定要素が少なかった。良いトレーニングをすれば、必ず良い結果が得られる。オーストラリアの選手たちは、日本ほど才能に恵まれているわけではないが、毎日ハングリー精神を抱いている。とにかく成功したい、対面する相手をやっつけようという精神的なタフさを持っているんだ。それに比べると、日本の選手たちは精神的に波がある。そういう意味では、オーストラリアの方が指導し易いということが言える」

 タフなオージーと、ナイーブな日本人――。その差が表れたのが、2006年ドイツ・ワールドカップの一戦だったとみている。

「もし日本のフィジカルコンディションが100%整っていたら、自信を持ち、それが精神力を引き出してくれたかもしれない。だがそれが十分でなかったから、同点に追いつかれた瞬間に自信が崩れ、難しい状況に陥ってしまった」

 酷暑の中での一戦、日本はMF中村俊輔(現・ジュビロ磐田)の幸運なゴールで先制するが、オーストラリアを率いるフース・ヒディンク監督の巧みな采配もあり、終了間際の連続失点で1-3と逆転負けを喫した。

 明暗を分ける重要な一戦。W杯では予選、本大会を通して過去8戦、日本はオーストラリアに勝ったことがない。鍵を握るのは、日本代表選手たちの心身のコンディション作り。どれだけ万全の状態でピッチに立てるかである。

【了】

加部究●文 text by Kiwamu Kabe


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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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