「サニブラウンが準決勝で9秒台を出す」― 専門家が予測する「Xデー」の理由
「爆発力」を持ったサニブラウンが合致する「一流の強さの条件」とは?
「サニブラウン君の走りを見て感じるのは『速い選手に引っ張られる』こと。強敵に肩を並べても、力まない感じ。選手によっては、速いペースで展開すると自分の走りができなくなる人もいる。彼の場合は逆に、引っ張られる感じがあります」
日本人選手が世界大会で成功するタイプは、一発の爆発力がある選手。桐生、ケンブリッジはトップ選手とのレースで力みやすいという指摘があるが、サニブラウンはまさに「爆発力」に分類される。
加えて、秋本氏は「一流選手の強さの条件」として自己ベストが海外レースにあると持論を語る。
「400メートル障害で01年エドモントン大会で銅メダルを獲った為末大選手は、当時の決勝が自己ベスト。それは本当に強い選手だからできること。海外の、それも決勝がベストという選手は今の陸上界にどれだけいるか。それが、本当の強さ。サニブラウン選手の場合、100メートル、200メートルは日本選手権で更新する前まで海外の10秒17がベスト。200メートルは15年の世界ジュニアでウサイン・ボルトの記録を超えた時のチリ。どういう選手と走ってもベストが出せるのは凄いです」
サニブラウンの実力ならば順当に予選はパスし、準決勝に進出するだろう。そこで決勝の8枚の切符をかけ、世界のトップ選手が全力を出してくるセミファイナルが「引っ張られる」サニブラウンにとって、大きなチャンスが生まれることになる。
さらに、9秒台の可能性を高めるのは、あの選手の存在だという。