トビウオに足りないものは「絶対にブレない」信念 平井HCが求める北島康介の戦う姿
対海外勢ではない、北島康介氏の信念貫く姿が必要「絶対に自分に負けちゃいけない」
一定の成長を示しながらも、合格点には届かなかった選手もいる。大橋は「ホッスーに勝つ」という目標を口にしながら臨んだが、ライバルに勝つことを目標にするという考え方に平井HCは疑問を持つ。長年日本競泳界の第一線で指導を続けてきた中でも、五輪平泳ぎ2大会連続2冠のレジェンド、北島康介氏の姿が脳裏をよぎるという。
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「ホッスーに勝ちたいっていうのは薄い気がするんですよ。自分の決めたことをやり抜くこと。最近考えるのですが、康介とかとやっている時にライバルに勝ちたいというより、『絶対に自分自身に負けちゃいけない』と、コーチである僕自身も持っていた。
ついでに言うと、人に感動を与えたいなんて思ったことないんですよ。感動するのは向こう(見ている側)だから。僕らは自分たちの決めたことを絶対にブレないでやり遂げる。相手じゃなくて自分だと思うんですよ。みんなそういうものを持てるといい。今大会で実力はあるということを、みんなが証明してくれているので、最後1年間は信念を持ってやってくれたら」
4月の日本選手権で厳しい派遣標準記録を突破するなど、設けられた選考基準をクリアした選手たち。女子100メートル平泳ぎ決勝では、青木玲緒樹が1分6秒40でメダルに0秒04足りない4位だった。平井HCは「派遣標準を切れば決勝まで残れて、いいところまでいけると彼女が証明してくれた」と評価。一方で10代の選手が世界新を出すなど、新星が次々と躍動する海外勢に危機感を抱かされた。
「(日本の若手も)国内では思うようなレースができるんですよ。何本泳いでもタフに行けるけど、世界選手権に来たら予選でちょっと抑えているつもり、準決勝ちょっと上げていこうとやっていたのだろうけど、思うように泳げる日本選手権と違って、知らないうちに受けるプレッシャー、ギリギリで残らないといけないストレスがある」