米国にも「女子マネ」はいるのか 性別に関わらない“部活サポート”の理想
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「米国に『女子マネ』はいるのか」。日本では、高校野球をはじめ、夏の大会が真っ盛り。チームを支える「女子マネ」の存在がたびたび、クローズアップされるが、米国の部活のマネジャーの姿とは――。米国で実際に高校運動部でスポーツに励んでいる息子を持つ、谷口氏が実情をレポートする。
連載「Sports From USA」―米国に「女子マネ」はいるのか、運動部の実情をレポート
「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回のテーマは「米国に『女子マネ』はいるのか」。日本では、高校野球をはじめ、夏の大会が真っ盛り。チームを支える「女子マネ」の存在がたびたび、クローズアップされるが、米国の部活のマネジャーの姿とは――。米国で実際に高校運動部でスポーツに励んでいる息子を持つ、谷口氏が実情をレポートする。
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私の長男は私立高校に籍を置き、寮生活をしている。息子は運動部に入っているが、彼の試合会場は私の家からは遠く離れているため、会場にかけつけて観戦するということはあまりない。その代わり、ゲームが始まるとスマートフォンを見る。グループチャットに試合速報のテキストメッセージが次々と流れてくるからだ。テキストメッセージを送ってくれるのは、運動部のマネジャーだ。別のマネジャーは試合をビデオで撮影し、オンラインで視聴できるように動画をアップする担当。もう一人のマネジャーは試合中の水分補給用ボトルの用意と用具管理を担っている。
息子の運動部にはマネジャーが3人いる。3人とも女子生徒である。
しかし、彼女らは「女子マネ」ではない。「スチューデント・マネジャー」である。スチューデント・マネジャーという役割は女子でも、男子でもできる。性別に関わらない。たまたま息子の運動部の今年度のスチューデント・マネジャーは女子ばかりだったということだ。ただ、私の周囲を見渡す限りは、女子のスチューデント・マネジャーのほうが、男子よりも多いように見受ける。
大学のマネジャーは高校の運動部とは少々事情が異なる。
以前、メジャーリーグのデトロイト・タイガースの広報を務めていた女性は、大学時代にはNCAA(全米大学体育協会)1部校のアメリカンフットボール部のスチューデント・マネジャーだった。彼女に話を聞いたところ、アメリカンフットボール部では、マネジャーになるのにもトライアウトをパスする必要があるという。春のトレーニング期間中にマネジャー希望者を募り、同部のスタッフらがマネジャーとして適任かどうかを見極める。当時、マネジャーは20人ほどおり、どちらかといえば男子学生が多かったそうだ。米国の大学では競技優秀者には奨学金が与えられることはよく知られているが、スチューデント・マネジャーのなかでもマネジャーとしての優秀さが認められると、大学から奨学金を与えられるという。