昔は五輪に炊飯器を持参!? メダル数増に見る周囲のサポートの重要性
「マルチサポートハウス」導入後、メダル獲得数も急増
この施設を導入した2012年ロンドン五輪、14年ソチ冬季五輪で日本は飛躍的にメダル数を伸ばした。ロンドンでは日本史上最多の38個のメダルを獲得。冬季五輪では10年トリノ大会は荒川静香さんの金メダルのみだったが、「マルチサポートハウス」導入後のソチ大会は8つのメダルを獲得した。今年のリオ五輪でも日本躍進のキーポイントになるとみられている。
「私たちの現役時代は、マルチサポートハウスがなかった時代ですが、色々と工夫をしていましたよ」と勅使川原さんは言う。代表的なところではやはり食事だ。
「選手たちは自分たちで炊飯器セットとお米を持っていって、おにぎりを作ったりしていましたね。練習後のタイミングで栄養補給するためには欠かせないものでした」
当時の日本代表アスリートが創意工夫を凝らしていたエピソードであると同時に、「自分で持っていってすごく重たくなる」(勅使川原さん)と、競技以外の部分にも意識を向けざるを得ない状況だったことが分かる。それだけに「マルチサポートハウス」の存在は選手たちにとって大きな味方となっている。
各競技に打ち込む子供たちも、スポーツに集中できる環境があればより一層の成長を果たすチャンスが大きくなる。「マルチサポートハウス」ほどの完璧な設備ではないにせよ、アスリートとして飛躍するためには、周囲のバックアップも大切な条件となることは間違いない。
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ジ・アンサー編集部●文 text by The Answer
写真提供:Sports Japan Gather