「Jのない県」からJを目指して― ある地方クラブの奮闘記「サッカークラブのお仕事」
1993年に誕生して27年目を迎えた、日本プロサッカーリーグ「Jリーグ」。地域密着を理念に掲げ、多くのクラブが強化、発展を日々目指しているが、近未来のJリーグ昇格を夢見て、奮闘するクラブも少なくない。その一つが、奈良クラブである。91年に奈良市で発足し、現在はJFL(日本フットボールリーグ、4部リーグ相当)で奮闘している。
JFL奈良クラブのスタッフが「サッカークラブのリアル」をレポートする新連載
1993年に誕生して27年目を迎えた、日本プロサッカーリーグ「Jリーグ」。地域密着を理念に掲げ、多くのクラブが強化、発展を日々目指しているが、近未来のJリーグ昇格を夢見て、奮闘するクラブも少なくない。その一つが、奈良クラブである。91年に奈良市で発足し、現在はJFL(日本フットボールリーグ、4部リーグ相当)で奮闘している。
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サッカーの存在は身近になっても、意外と知られていないクラブの舞台裏。誰がどんな思いを持って、支えているのか。「THE ANSWER」では、元スポーツ紙記者の奈良クラブスタッフ・山川達也さんが地方クラブのリアルな実情を紹介する新連載「『Jのない県』からJを目指して―ある地方クラブの奮闘記」を開始。第1回は「サッカークラブのお仕事」について。
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現在Jリーグには、J1からJ3まで38都道府県に本拠地を置く55のクラブが所属しているが、4部以下の下部リーグにも、日本サッカー最高峰の舞台を目指して活動しているクラブがまだまだたくさん存在する。私がフロントスタッフとして所属する奈良クラブは、「J」のない8県のうちの1つ、奈良県からJの舞台を目指して活動するプロサッカークラブだ。華々しいプロスポーツの世界には程遠いながらも、しっかりと地域に根差し、リソース不足を知恵や工夫で補いながら、野心的に上を目指す地方クラブの“生”の姿を、このコラムを通して少しでも知ってもらえたら幸いである。
「どんな仕事をしているの?」
4月にクラブに入社して以来、友人や元同僚に何度も問われてきた質問だ。その問いには、決まってこう返すことにしている。
「カレーを煮込んだり、ゴミ拾いをしたりしている」
スポーツ新聞社から、Jリーグを目指すプロサッカークラブ「奈良クラブ」に転職して3か月。週末に行われる試合を中心とした「サッカーカレンダー」通りの生活にはようやく慣れてきたが、クラブが受け持つ業務領域の幅広さにはまだまだ驚かされる。今日まで実際に私が関わった業務は、サッカークラブのあまりにも多岐にわたる業務内容のうちの氷山の一角にすぎないのではないか。そんな思いに駆られるくらい、次から次へと新しい仕事が降って湧いてくる。