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チェコNo.1投手が覚えた日本語「シンケイ」 新潟で叶えた“プロ野球選手”の夢…苦闘3か月も代表の力に

韓国戦に先発したパディシャーク 【写真: 加治屋友輝】
韓国戦に先発したパディシャーク 【写真: 加治屋友輝】

セミプロ軍団で強くなったチェコ、今後のカギはプロ選手の増加

 チェコ代表選手の多くがプレーする自国のトップリーグ「エクストラリーガ」は、レギュラーリーグが8球団5回戦総当たりの35試合。試合は週末を中心に組まれ、プレーオフや入れ替え戦を入れてもシーズンで戦うのは50試合程度だ。

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 だからチェコ代表は、別に本業を持つ選手が並ぶ。10日の日本戦で、5回途中まで無失点の快投を演じたサトリアは電力会社に勤め、工事管理を担当する。パベル・ハジム監督は「私は神経科医だ。野球以外のところは医師の業務をしている。消防士もいるし、エンジニアもいるし、工業デザイナーもいる。様々な野球以外の職業をもつ選手がいるんだ。多様な仕事が混ざり合っている」とユニークな言葉で、チームの現状を表現する。

 それを言いわけにしないのも、チェコのスタイルだ。ハジム監督は日本戦の試合前「我々は観光をしに来たわけではない」と口にした。その後の試合は7回まで両軍無得点という緊迫した展開。8回に崩れて0-9で敗れたものの「世界最強のチームを相手に、これほど接戦を演じられる『観光客』がどこにいるでしょうか」と胸を張った。

「私たちのプレーやパフォーマンスは、単にチェコ野球や選手、ファンのための夢ではありません。これはヨーロッパ諸国や、私たちのような小さな野球国にとっての『希望』だと感じています。もし彼らが私たちの姿を見て希望を感じてくれたなら、これほど嬉しいことはありません。プロ意識を持って取り組めば、プロと対等に戦えるのだという方向性を示せたことを誇りに思います」

 野球で暮らすプロではなくとも、取り組みはプロフェッショナルを志向した結果、ここまでの結果を出せたというのだ。ただ、チェコ野球はさらに上へと進もうとしている。次回のWBCは予選からの参加となり、今秋はプレミア12の予選も控える。ここで必要なのが、身も心も野球にささげ、長いシーズンを戦った経験だろう。パディシャークや、昨季巨人でプレーしたマレク・フルプ外野手に期待される部分だ。チェコでも、元ロッテの荻野貴司外野手が新加入するドラッツイ・ブルノなどは、プロ選手を増やしてチームを進化させようとしている。

 パディシャークは今後について「今は神のみぞ知るというところです。僕が決められることではないですし、必要とされる場所へ行きたい。日本なら最高ですし、チェコでもアメリカでも、あらゆる可能性をオープンにしています。野球を続けられるように、納得のいく選択をしたい」と口にする。プロ野球選手になるという夢を、まだ追いかけるつもりだ。

 好きな日本語だという「オツカレ」と言い残し、パディシャークは東京ドームを離れた。日本の食べ物は「世界一です」と言ってやまない。「一番大好きなのは焼肉、2番目は寿司、3番目はトンカツです。トンカツ大好きです」。また日本でユニホームを着て、今度は思う存分野球を楽しんでほしい。その経験こそ、チェコ野球を次のステージへ引き上げる力となる。

◇ ◇ ◇

 3月5日に第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕。熱戦が続いている。2006年に第1回が行われてから20年、過去3回優勝した日本の強さが世界に認められる一方、国際大会を通じて世界の野球の距離は着実に縮まってきている。「THE ANSWER」では大会期間中「ベースボールの現在地」と題し、選手やスタッフが“国際野球”に挑む思いを伝える。他の種目と競技人口を比較すればマイナーと言われることもある野球。ただ世界中に、このゲームを愛する人がいる。注目される数年に一度の機会だからこそ、世界の野球の今を知り、ともに未来を考えるきっかけを作る。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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