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ミラノ五輪で見た採点競技の奥深さ 得点、順位も大事だが…心揺さぶる「表現者」の矜持

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」ではミラノ・コルティナ五輪期間中、連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」を展開。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和と、五輪を含めスポーツを40年追い続けた「OGGI」こと荻島弘一氏が“沼”のように深いオリンピックの魅力を独自の視点で連日発信する。第15回はミラノ五輪で見た「競技者」と「表現者」の魅力。

フィギュアスケートのエキシビション後に出演者たちと自撮りをした坂本花織(右)【写真:ロイター】
フィギュアスケートのエキシビション後に出演者たちと自撮りをした坂本花織(右)【写真:ロイター】

連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」第15回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」ではミラノ・コルティナ五輪期間中、連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」を展開。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和と、五輪を含めスポーツを40年追い続けた「OGGI」こと荻島弘一氏が“沼”のように深いオリンピックの魅力を独自の視点で連日発信する。第15回はミラノ五輪で見た「競技者」と「表現者」の魅力。

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 フィギュアスケートのエキシビションは楽しかった。五輪という競技会の中で「ショー」をするのは異例でもあるが、それがフィギュアの文化。点数も気にせず、何でもあり。五輪の緊張感から解放された選手たちの演技を存分に楽しめた。

 千本桜にヤングマン、パンダが登場し、PK戦まで飛び出した。りくりゅうはジャイアントスイングからアルゼンチンバックブリーカーまで披露し(笑)、坂本花織は五輪ラストダンスに競技人生を詰め込んだ。審判ではなく観客を、世界中を魅了した。エキシビションのフィギュアスケーターたちは、表現者だった。

 大会を通じて思ったのは、選手には「コンペティター(競技者)」と「アーティスト(表現者)」がいるということ。もちろん、五輪に出場しているのだから競技者なのは間違いないし、競技によっても違うが、表現者の個性やプライドが見えることが多い。

 冬季大会は夏季に比べて採点競技が目立つ。フィギュアスケートやスノーボードのフリースタイル(ビッグエア、ハーフパイプ、スロープスタイル)が代表的だし、コブを滑る技術を競うモーグルやスキージャンプの飛型点でも採点がある。日本が得意な競技が多いから、よけいに「採点競技ばかり」のように思う。

 それぞれの採点には基準がある。より公平に、より分かりやすくしようとしているが、最終的には「ジャッジの主観」によるところも小さくない。いくら採点方法を明確にしても「主観」を完全には排除できない。それがなくなってしまっては、採点競技としての魅力もなくなるような気がする。

 競技者はルールや採点基準に合わせて、勝利を目指す。「どうしたら審判にアピールできるか」「何が得点につながるか」。採点の傾向やトレンドまでを調べ、戦略を練る。コーチを含めて、それができなければ高得点は望めないし、メダルは遠い。

 表現者は、競技者とは少し違う。自らがやりたいこと、見せたいことを追求する。それが審判の求めるものと合致すればいいが、そうでない場合も少なくない。だから「見せたいもの」「自分が追い求めるもの」を修正し「審判が求めているもの」に近づける。

 ただ、表現者としては時に譲れないものもある。荒川静香が技単体に点がなかったレイバック・イナバウアーを取り入れたり、マリニンがリスクに比べて得点にならないバックフリップをあえて敢行するのも表現者としての矜持に思える。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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