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「日本叩き」もあったスキージャンプの歴史…それでも「日の丸飛行隊」は負けない 飛び続けた半世紀分の“思い”

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」ではミラノ・コルティナ五輪期間中、連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」を展開。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和と、五輪を含めスポーツを40年追い続けた「OGGI」こと荻島弘一氏が“沼”のように深いオリンピックの魅力を独自の視点で連日発信する。第9回は、スキージャンプ「日の丸飛行隊」が歩んできた半世紀の軌跡。

1972年札幌大会で表彰台を独占した「元祖日の丸飛行隊」。左から金野昭次、笠谷幸生、青地清二【 写真:picture alliance/アフロ】
1972年札幌大会で表彰台を独占した「元祖日の丸飛行隊」。左から金野昭次、笠谷幸生、青地清二【 写真:picture alliance/アフロ】

連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」第9回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」ではミラノ・コルティナ五輪期間中、連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」を展開。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和と、五輪を含めスポーツを40年追い続けた「OGGI」こと荻島弘一氏が“沼”のように深いオリンピックの魅力を独自の視点で連日発信する。第9回は、スキージャンプ「日の丸飛行隊」が歩んできた半世紀の軌跡。

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「もともとは、罪人への刑罰だったんだ」。先輩記者は、まことしやかに言った。「雪山に連れて行ってスキーを履かせる。手を縛ったままジャンプをさせて、無事に生還したら無罪放免。まあ、ほとんどは無事じゃないけど」。それが、北欧で生まれたスキージャンプ競技の始まり。40年も前、新米記者は簡単に騙された。

 もちろん、大嘘だ。ただ、確かにそういう都市伝説はあった。ネットはない。図書館にだって資料はない。1972年札幌大会の「日の丸飛行隊」は興奮したけれど、実際に生で競技を見たこともない。「怖そうだな」という話が大きくなったのか。選手の「すごく怖い」という言葉から生まれた話なのかもしれない。

 実際には日常的にスキーを履いていたノルウェーのテレマーク地方の人たちが、遊びでやっていたジャンプを競技にしたもの。80~90年代のスキーブームの時には、ゲレンデのコブを跳んだりしていたから「遊び」が発祥というのは理解できる。ただ、競技になれば100メートル以上も飛んでいくのだ。とてもマネできるものではないし、間違ってもやりたいとは思わない。

 とはいえ、昭和の時代の「冬物」担当にとって、取材対象はスピードスケートとジャンプ(と販売戦略でアイスホッケー日本リーグ)ぐらいしかなかった。他は世界との差が大きすぎたからだ。スノーボードも、カーリングも、五輪競技になるのは遠い先。そんな競技があることさえ知らなかった。

 今振り返れば、ウインタースポーツは「冬」の時代だった。92年までの冬季五輪は夏季大会と同じ年にあったから(94年から夏季大会の中間年に移行)、取材する記者も少なかった。だから、世間的な認知度も低い。今も競技環境は十分ではないだろうが、今以上に恵まれていなかったと思う。

 そんな中で、ジャンプは日本の冬季競技を引っ張ってきた。前回北京大会までの五輪メダル数は金4、銀6、銅4の計14個。スピードスケートの26個(金5、銀10、銅11)よりは少ないが、記憶に残るメダルで日本人の目を冬季競技に振り向かせてきた。

 1972年札幌大会では笠谷幸生、金野昭次、青地清二の「元祖日の丸飛行隊」が70メートル級(ノーマルヒル)で表彰台を独占。98年長野大会では原田雅彦や船木和喜ら「新日の丸飛行隊」が劇的な逆転で団体の金メダルを手にした。

 すごいと思うのは、浮き沈みがありながらも世界のトップにいつづけること。スキー板の長さのルールが変わったり、スーツの規定が厳しくなったり、さらに平行にしていた板をV字にするという常識をひっくり返す技術改革があったり……。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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