「個の強さを磨くために欧州へ」 8年前の世界一直後に熊谷が語った“なでしこの未来”
なでしこジャパン(日本女子代表)が世界一に輝いた2011年女子ワールドカップ(W杯)決勝の米国戦後、優勝を決める最後のPKを突き刺した熊谷紗希はミックスゾーンで熱く語った。当時まだ20歳だったが、すでに代えの効かないセンターバックで、米国のエースで180センチの長身を誇るパワフルなFWアビー・ワンバックを1失点に抑え切ったという点でも陰の立役者と言えた。
20歳で2011年女子W杯優勝を経験、世界一の栄光の裏で感じた世界との差
「なでしこが単純なパワープレーでやられて勝てないのは本当にもったいない。だから個の局面の強さを磨くために、私はヨーロッパへ行きます」――熊谷紗希(日本女子代表/リヨン)
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なでしこジャパン(日本女子代表)が世界一に輝いた2011年女子ワールドカップ(W杯)決勝の米国戦後、優勝を決める最後のPKを突き刺した熊谷紗希はミックスゾーンで熱く語った。当時まだ20歳だったが、すでに代えの効かないセンターバックで、米国のエースで180センチの長身を誇るパワフルなFWアビー・ワンバックを1失点に抑え切ったという点でも陰の立役者と言えた。
だが世界の頂点に立った時点で、早くも熊谷はなでしこの未来を見ていた。
「これだけの組織的な攻撃力を持つなでしこが、単純なパワープレーだけでやられるのは本当にもったいない。結局守備がどれだけ耐えられるかがポイントで、局面の1対1の強さが必要になる。だから私は、個の力を上げるためにヨーロッパへ行きます」
8年前のなでしこは、大会参加国の中で異彩を放っていた。米国、ドイツ、さらに日本がグループリーグで敗れたイングランドも、身体能力のアドバンテージを活かそうと、パワーとスピードで日本を脅かした。一方なでしこは対照的に、粘り強くショートパスをつなぎ、攻守に献身的なプレーを継続し“女性版バルセロナ”と称賛された。ただし、やはり強豪国が直線的なロングボールを駆使してゴールに迫ると、苦戦を強いられるシーンも少なくなかった。
実際に米国との決勝戦も、熊谷自身は「予想以上に相手が前から取りに来て、守備に回る時間が多かった」と感じていた。だがエースのワンバックには執拗に身体を寄せて苛立ちを誘い、なんとか水際で食い止めた。