最強の格闘技は「そりゃ総合ですよね」― UFC帰りの堀口恭司が覗かせるプライド
“KIDイズム”の後継者「KIDさんからは言葉にしないカッコよさを教わりました」
KIDの背を追って始めたプロとしてのキャリア。昨年9月に急逝した後も、伝説の存在として語られ続けるカリスマからは、何を受け継いだのか。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
「KIDさんは教えるというよりは、俺の背中を見てろと言うような感じです。漢(おとこ)というものを教わりました。言葉にしないカッコよさ。一々説明しなくてもわかるだろお前らと…。そういうところを教わりました。それは自分も受け継いでいると思いますし、やっぱり真似しますね(笑い)」
“KIDイズム”の後継者は日本で順調なキャリアを積み、2013年9月、22歳でUFCへの参戦を決めた。翌月のデビュー戦で2回TKO勝ち。まさに鮮烈なデビューを飾って見せたのだ。
「世界一の舞台で戦ってみたい。世界のトップのファイターとやりたい。そこで一番になりたい。やっぱり憧れた舞台でした」
希望に胸を膨らませて海を渡ったが、現実に直面し、逆に失望もあった。
「強い選手もいっぱいいた。だけど1番ショックだったのは試合を組んでもらえなかったこと。やっぱりというか……、ビジネスなんだなと。最強を決めるといいながらも、人気がなければ使われない。特に自分がいたフライ級は現地では全然人気がない。興行はあっても試合がないんです」
UFCに参戦してから3年2か月で試合はわずか8試合。戦績は7勝1敗と、UFCに参戦した日本人ファイターの中で過去最高の成績を残したが、堀口にはフラストレーションがたまっていった。
「自分はお世話になっていた空手の先生や、KIDさんに近くで見せたいと。自分の恩師に、戦う姿を見せられない。なら、もう(UFCは)いいやと。恩師たちに自分も頑張っているという姿を見せたかったので」
2017年からは再び日本を主戦場にすることに決めた堀口は、RIZINへの参戦が決定。「日本の格闘技界を盛り上げる」ためにスケールアップして帰ってきた男は、再び連勝街道を歩み始める。そして、あの“神童”との伝説の一戦を迎えることになる。
(後編へ続く)
(THE ANSWER編集部・角野 敬介 / Keisuke Sumino)