全仏敗退は大坂なおみをどう成長させるのか 21歳の女王が“本当に戦うべき相手”とは
第1シードでGS3連覇かけて挑んだ大会、すり替わった「優勝しなければ」の重圧
1回戦から「メチャクチャ緊張している」と言い続けてきた大坂が、この全仏オープンで戦っていた本当の相手は、実は自分の頭の中にいたのかもしれない。世界ランク1位で第1シードとなったことに加え、昨夏の全米、今年1月の全豪と4大大会2連勝でパリに乗り込んできた。全仏で優勝すれば、憧れのセリーナ・ウィリアムズ(米国)が2015年に達成して以来の出来事。4大大会初優勝からのグランドスラム3連勝ともなれば、史上初の快挙だった。当然、周囲の期待は高まる。
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大会中、大坂自身も勝ち上がるたびに「この大会でどうしても優勝したい」と言い続けてきた。勝負の世界に身を置く人間だったら、常にトップを目指すのは当然のこと。時には、負けん気の強さがパフォーマンス向上の原動力になる。だが今回、21歳の世界女王が抱いた「優勝したい」という願いは、いつの間にか「優勝しなければ」というプレッシャーにすり替わっていたようだ。その結果が「ずっと自分に重りが載せられているような感じ」がするほどの息苦しさだったのだろう。
格下相手にストレート負けを喫した事実には、周囲から厳しい声が飛ぶかもしれない。だが、これから先も長く続くであろうテニスプレーヤーとしてのキャリアを考えた時、世界ランク1位で迎えるグランドスラムがどんなものなのか経験できたことは、大きなプラス材料となるだろう。
キャリア最高の出来だったというクレーコートシーズンも一段落し、またここから仕切り直し。今回の敗戦から得た学びを自身の成長に繋げられた時、大坂はグランドスラム4連勝を狙えるポジションにたどり着いているはずだ。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)