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球数制限は必要? 野球界議論に当事者だったアマ選手は何を願う 今、本音で語ろう

谷田成吾は「ルールで縛ることに少し抵抗を感じる」と語る【写真:編集部】
谷田成吾は「ルールで縛ることに少し抵抗を感じる」と語る【写真:編集部】

慶応・上田監督、早実・和泉監督に学んだこと、共通した「ノーサイン」の理想

――慶応では坊主にしなくていい理由は教えられるのか。

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谷田「説明されないし、何も言われない。別に坊主でもいい。実際にそういう選手もいたし、自由ということ。『なんで坊主じゃないんですか』と言われたら、逆に『えっ? なんで坊主にしなきゃいけないんですか』と戸惑うような感覚だったかな」

内田「それは素晴らしいね。坊主を辞めよう、禁止にしようじゃなく“ただの人間”として扱うということ。なんで高校野球って坊主なんだろうって素朴に思うよ」

谷田「習慣、文化って怖いよね」

内田「自分は高校時代、坊主に疑問を思ったことは一回もない。五厘刈りは嫌だなくらい(笑)。『慶応は髪長いなあ』くらいで、いいなとも特に思わなかった」

――内田は斎藤佑樹らを擁して06年夏の甲子園優勝した和泉実監督の下で学んだ。朝練もなく1日3時間足らずの短い練習時間で自主性を重んじた指導方針だった。

内田「和泉監督はインタビューの時に『選手』ではなく『生徒』と言う。野球部である前に一人の生徒としてあれ、ということは教えられていた。練習については、それなりに強い学校では全国一と言っていいくらい自主性を重んじるんじゃないかと思う。練習時間は凄く短いし、練習メニューもチームとしてこういうことが必要だと提案して、監督が『じゃあ、それをやろう』という感じ。高校生ながらに考えて野球をやっていた。『ノーサインの野球が最終的に求めているところ』ということも聞かされていた」

谷田「それは上田さんも同じこと言っていたな」

内田「監督のサインがなくても選手が阿吽の呼吸でやればいいという考え。だから、エンドランができそうだなと思えば、打者と走者間だけで勝手にやることもあり、試合でも自主性を求められた。それは例えば、練習が雨降った時、この状況でできるベスト、この状況だからこそできることは何かと考えたり、その思考は野球から離れて社会に出ても少なからず身についている」

谷田「いいなりにならないというところはある。慶応で有名なのは、センバツで監督からスクイズのサインが出たけど、三塁コーチャーは『打者が気づいてない』と思って、目の前の三塁ランナーに『走るな』と言った。そうしたら、本当に打者が見逃したことがあった。監督のサインを変えたのに、逆に監督は褒めてくれた。『よく考えて行動した』って。常に怒られていたら、三塁コーチャーは『打者が気づいてバントしたら俺、怒られる』と自分の責任を回避するために走るはず」

内田「そこで褒められる監督っていうのはいいよね。言われたらその先が生まれない。選手が考えなくなってしまう。和泉監督も考えないで行動する、とりあえずやってみるということには厳しかった。こなすだけの練習がまさにそう。高校野球に多いけど、質より量ではなかった。加えて、野球選手としてだけでなく、まず一人の人間としてしっかりあれ、という感じ。だから、試合に勝った後も『生徒が頑張ってくれました』と言ってくれて、選手の気持ちがぐっと上がった」

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