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日本で困惑「どう自分を表現すれば…」 南米アマゾン→パリ経由の元NBA選手が直面した最大の壁

取材では日本語の挨拶も披露したイングリス【写真:編集部】
取材では日本語の挨拶も披露したイングリス【写真:編集部】

日本で最大の困難は言語の壁「どうやって自分を表現すれば…」

 フランス1部リーグでプレーした後、2014年のNBAドラフトでバックスから2巡目(全体31位)指名を受けた。2015年10月にはバックスでNBAデビュー。20試合に出場した。翌年はニックス傘下のDリーグ(現Gリーグ)でプレー。その後フランス、イタリア、スペインのチームを渡り歩き、2024-25シーズンから横浜BCに加入した。

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 初めて親元を離れ、皿洗いの仕方もわからず途方にくれた14歳の時の辛さはもうない。しかし、「日本は全てが本当に違うから難しい。適応するのに時間がかかるよ」。直面した最大の困難は言語の壁だった。

「バスケの面でもそうだよ。コミュニケーションが大事な世界で生きている中、意思疎通がうまくいかないのは難しい。相手が自分の言っていることを理解できないのに、どうやって自分を表現すればいい? ここでの仕事で僕は多くのことを期待されているのに、自分自身を表現できない。コートの上で表現するしかないけど、個人競技じゃなくてチームスポーツだからね。

 だから自分自身を表現すると同時に、意思疎通もできないといけない。通訳はいるけど、試合中のコートには入れない。私生活のときも常に一緒にいるわけじゃないし、僕一人だけ。日本で一番苦戦しているのは言語の壁だね。でも勉強中なんだ。毎日少しずつ日本語を勉強しているよ。ここを離れることになった時には、日本語ペラペラになっていたらいいな」

 異国に馴染むためにコート内外で努力は惜しまない。「日本の文化を理解してからはどんどん楽になってきている。僕に何を期待しているのか、街で人々がどう振る舞うか。何が失礼で、何が礼儀正しいのか。何が好まれて、何をしてよくて、何をしてはいけないのが分かるようになってきた」。今季はここまで得点、リバウンド、アシストの全てでチームトップと大黒柱の働きを見せている。

 日本での生活やバスケに慣れてきた一方、まだ言語以外に壁を感じる部分がある。イングリスがBリーグのさらなる発展のために望むのは、選手の声をリーグ事務局に届ける機会の増加だ。(後編に続く)

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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