日本で困惑「どう自分を表現すれば…」 南米アマゾン→パリ経由の元NBA選手が直面した最大の壁
いまやプロスポーツで当たり前の存在になった外国籍選手や指導者たち。しかし、競技以外にスポットライトが当たることは多くない。母国を離れて日本という異国で適応に励みながら、どんな日々を送っているのか。「THE ANSWER」は、連載「Athlete Life in Japan」で様々な声を取り上げる。第4回はバスケットボールBリーグの横浜ビー・コルセアーズ(横浜BC)に所属するダミアン・イングリス。フランス領ギアナ出身の30歳は言葉の壁に苦しみつつ、14歳で単身海を渡った経験を生かして順応を図っている。(前後編の前編)(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

連載「Athlete Life in Japan」――第4回Bリーグ横浜BCダミアン・イングリス【前編】
いまやプロスポーツで当たり前の存在になった外国籍選手や指導者たち。しかし、競技以外にスポットライトが当たることは多くない。母国を離れて日本という異国で適応に励みながら、どんな日々を送っているのか。「THE ANSWER」は、連載「Athlete Life in Japan」で様々な声を取り上げる。第4回はバスケットボールBリーグの横浜ビー・コルセアーズ(横浜BC)に所属するダミアン・イングリス。フランス領ギアナ出身の30歳は言葉の壁に苦しみつつ、14歳で単身海を渡った経験を生かして順応を図っている。(前後編の前編)(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
【注目】日本最速ランナーが持つ「食」の意識 知識を得たからわかる、脂分摂取は「ストレスにならない」――陸上中長距離・田中希実選手(W-ANS ACADEMYへ)
◇ ◇ ◇
「こんにちは」「ありがとうございます」
来日2年目のイングリスからはスラスラと日本語の挨拶が出てくる。「難しくて全然違う言語だけど、毎日少しでも理解できるようにベストを尽くしているんだ」。お気に入りの日本語を聞くと、「それは言えないな」と苦笑い。「いい言葉じゃないんだ。下品なやつさ。誰が教えたのかって? チームメート全員だよ」。屈託のない笑顔からは、チームに馴染んでいることがうかがえた。
フランス領ギアナのカイエンヌ出身。南米の北部にあり、大西洋に面している。「ブラジルの北に接していて、世界最大の森林アマゾンもある。熱帯のとても暑い国で、非常に小さいけど人々は温かくて、食事も最高。面積の8割は川や森だから、自然や緑、木や動物が好きなら、僕の国に来るといいよ」。毎年必ず帰るという愛する故郷。初めて離れたのはわずか14歳の時だった。
9歳から始めたバスケでキャリアを築くために、フランスの首都パリにある国立スポーツ体育研究所(INSEP)に単身で入所。「パリに来て初めて冬や雪を知ったんだ」。年中温暖なフランス領ギアナとは何もかもが違う。身の回りの世話をしてくれる親や家族もいない。「辛かった。あれは本当に大変だった」。バスケに打ち込む時間と向上心が、孤独な14歳の支えだった。
オフの夏場も世代別の代表に入っていたため、なかなか帰省は叶わなかった。「でも素晴らしい経験だった。そのおかげでとても早く大人になれたと思う」。1人で暮らした日々は、今にも繋がっている。「全く新しい国に移り、新しい人に出会い、多くを学び、新しい文化に触れる。INSEPにいた頃の経験が、家族と離れてバスケのために生きるという、ここでの生活を楽にしてくれているよ」。
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)








