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日本で困惑「どう自分を表現すれば…」 南米アマゾン→パリ経由の元NBA選手が直面した最大の壁

いまやプロスポーツで当たり前の存在になった外国籍選手や指導者たち。しかし、競技以外にスポットライトが当たることは多くない。母国を離れて日本という異国で適応に励みながら、どんな日々を送っているのか。「THE ANSWER」は、連載「Athlete Life in Japan」で様々な声を取り上げる。第4回はバスケットボールBリーグの横浜ビー・コルセアーズ(横浜BC)に所属するダミアン・イングリス。フランス領ギアナ出身の30歳は言葉の壁に苦しみつつ、14歳で単身海を渡った経験を生かして順応を図っている。(前後編の前編)(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

横浜ビー・コルセアーズで大黒柱の活躍を見せるダミアン・イングリス【写真提供:(C)B-CORSAIRS】
横浜ビー・コルセアーズで大黒柱の活躍を見せるダミアン・イングリス【写真提供:(C)B-CORSAIRS】

連載「Athlete Life in Japan」――第4回Bリーグ横浜BCダミアン・イングリス【前編】

 いまやプロスポーツで当たり前の存在になった外国籍選手や指導者たち。しかし、競技以外にスポットライトが当たることは多くない。母国を離れて日本という異国で適応に励みながら、どんな日々を送っているのか。「THE ANSWER」は、連載「Athlete Life in Japan」で様々な声を取り上げる。第4回はバスケットボールBリーグの横浜ビー・コルセアーズ(横浜BC)に所属するダミアン・イングリス。フランス領ギアナ出身の30歳は言葉の壁に苦しみつつ、14歳で単身海を渡った経験を生かして順応を図っている。(前後編の前編)(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

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「こんにちは」「ありがとうございます」

 来日2年目のイングリスからはスラスラと日本語の挨拶が出てくる。「難しくて全然違う言語だけど、毎日少しでも理解できるようにベストを尽くしているんだ」。お気に入りの日本語を聞くと、「それは言えないな」と苦笑い。「いい言葉じゃないんだ。下品なやつさ。誰が教えたのかって? チームメート全員だよ」。屈託のない笑顔からは、チームに馴染んでいることがうかがえた。

 フランス領ギアナのカイエンヌ出身。南米の北部にあり、大西洋に面している。「ブラジルの北に接していて、世界最大の森林アマゾンもある。熱帯のとても暑い国で、非常に小さいけど人々は温かくて、食事も最高。面積の8割は川や森だから、自然や緑、木や動物が好きなら、僕の国に来るといいよ」。毎年必ず帰るという愛する故郷。初めて離れたのはわずか14歳の時だった。

 9歳から始めたバスケでキャリアを築くために、フランスの首都パリにある国立スポーツ体育研究所(INSEP)に単身で入所。「パリに来て初めて冬や雪を知ったんだ」。年中温暖なフランス領ギアナとは何もかもが違う。身の回りの世話をしてくれる親や家族もいない。「辛かった。あれは本当に大変だった」。バスケに打ち込む時間と向上心が、孤独な14歳の支えだった。

 オフの夏場も世代別の代表に入っていたため、なかなか帰省は叶わなかった。「でも素晴らしい経験だった。そのおかげでとても早く大人になれたと思う」。1人で暮らした日々は、今にも繋がっている。「全く新しい国に移り、新しい人に出会い、多くを学び、新しい文化に触れる。INSEPにいた頃の経験が、家族と離れてバスケのために生きるという、ここでの生活を楽にしてくれているよ」。

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