「○○2世」報道の善し悪し 「佑ちゃん2世」と「由伸2世」と呼ばれた男たちの本音
経験者が思う注目球児とメディアの関係「記者の方の倫理観が大事」
――もっと自分の名前で見出しになりたい、自分自身で評価されたいという思いは。
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谷田「もちろん、自分自身の名前で出たこともあるけど、部数やPV数を考えると『由伸2世』とした方が記事になるんだろうなと」
内田「冷静に考えると仕方ない感じ? 気負ったりもなかった?」
谷田「仕方ないし、仕事なんだろうなと思っていたから。自分が『俺は由伸2世だ』と本気で思っていたら気負うかもしれないけど、おこがましいというのは当然思っているし、全然結果も追いついてないと重々理解しているから」
内田「打ち方も真似するわけじゃないしね」
谷田「自分は言ってないのにって腹が立つことはあったけど……(笑)」
――高校から注目されると、練習試合から記事になったり、大会で打てなくても記事になったりする。
内田「でも、打てなくなったことが書かれるようになったら本物だよね。それは凄いと思う」
――現在、大船渡・佐々木朗希投手(3年)が練習試合から騒がれる。注目高校生とメディアの距離感は経験者としてどう思うか。
内田「佐々木君の場合はスーパースターの道のりを歩む選手だと思うので、こうなるのも仕方ない面はある。でも、谷田が言ったように『PV数を稼げるから』と割り切っている子だったらいいけど、勘違いしてしまう選手も生まれてしまうかなとも思う」
谷田「記者の方が何を正しいと思っているかの倫理観が大事かなと。面白い記事さえ書ければ何でもいいと思っているように感じる記者の方も経験したことがある。でも、あまり取材を受けたことがない子は嬉しかったりするから、難しいところかなと」
――記事になることをモチベージョンにして頑張る選手もいれば、大きく作られたイメージに合わせて自分を見失ってしまう選手が生まれる可能性もある。夏の地方大会は全国に『○○のダル』が乱立しやすい。
谷田「でも、その方が見られるってことですね」
――新聞の「○○のダル」表現は右投手の大型本格派の代名詞で、そう書くと選手のイメージが少ない文字数でも伝わりやすい。
谷田「なるほど。そう思うと仕方ないかな」
内田「商売である以上、正直すぎてもいけないのは仕方ない」