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サニブラウンは「才能に頼った走り」を卒業した 9秒99の裏にあった“米国式の成長”

陸上男子短距離のサニブラウン・ハキーム(フロリダ大)が、11日(日本時間12日)に行われた米大学南東地区選手権男子100メートル決勝で9秒99をマークし、優勝した。元々、9秒台を出すのは時間の問題と見られていた逸材。日本選手2人目となる「10秒の壁」を破ったという事実以上に、現在取り組んでいるトレーニング・プログラムに自信を深めたことが一番の収穫だろう。

サニブラウン・ハキーム【写真:Getty Images】
サニブラウン・ハキーム【写真:Getty Images】

9秒台の裏にあった成長、米コーチ「長い間、才能に頼った走りをしていたが…」

 陸上男子短距離のサニブラウン・ハキーム(フロリダ大)が、11日(日本時間12日)に行われた米大学南東地区選手権男子100メートル決勝で9秒99をマークし、優勝した。元々、9秒台を出すのは時間の問題と見られていた逸材。日本選手2人目となる「10秒の壁」を破ったという事実以上に、現在取り組んでいるトレーニング・プログラムに自信を深めたことが一番の収穫だろう。本人もタイムについては「正直、そんなに速く走っている感じはなかった。(9秒台は)そのうち出るかなと思っていた」と喜びは控えめで、「しっかりと練習で積み上げてきたことをレースに出せるようになったと思います」という言葉に力がこもっていた。

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 高校卒業後、米国に拠点を移したサニブラウン。質の高い練習プログラムと優れたサポートシステムを提供するフロリダ大に入学後、マイク・ホロウェイ・コーチの下で技術面の指導を受け、才能が開花した。転機となったのは1年前のけがだった。昨年5月に右脚を負傷し、試合に出ることができなかった期間にみっちりと筋力トレーニングに励み、「大きな筋肉もそうですけど小さな筋肉もいろいろな部分で体を支えるところが発達していなかったので、その部分をけがしてからリハビリで強化できた。今となっては自分を見つめ直すことができたのでよかった」。1年前と比べて体格も大きくなり、爆発的な加速力に磨きがかかった。

 それと同時に、コーチと取り組んできたのがスタートの改善。飛び出しで意識的に体を下げていたのを低い姿勢から体を自然に起こして加速につなげる形へ変えた。大会が終わった後、「スタートは飛び出しから最初の3メートルもそうですし、30メートルまでの加速もそうですし、体の使い方を教えてもらえたのが身になっていると思います」と、手応えを口にした。武器の加速力に瞬発力が加われば、まだまだタイムは伸びそうだ。

 今年3月の室内60メートルで日本記録に並ぶ6秒54を出すなどスタートへの苦手意識は消えつつあった。それが今回、優勝という結果となって表れたことは大きな自信につながる。ホロウェイ・コーチが「長い間、才能に頼った走りをしていたが、やっと100メートルの技術を使えるようになった。自分のレースモデルを信じることができるようになったのが大きい」と話すように、今後に期待は膨らむ。今回の記録は400メートルリレーを走ってから1時間20分後に出た。「リレーを走った後は疲労が出るだろうから技術を信じるように」とコーチから伝えられたそうで、力みを取り除く助けになったのかもしれない。

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