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「最後まであがきます」体操“内村超え”36歳で現役、田中佑典が描く引き際「美しく終われない」

キング・内村航平さんですら32歳で引退

 32歳で引退したキング・内村さんはかつて、「体操の破壊力、エグいっす」と肉体へのダメージの大きさを説明していた。度重なる故障、手術を経て今も現役を続ける田中は、異例の“長寿”。周囲が「仙人」と呼ぶのも当然だ。

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 選手、指導者が「美しい体操」の例として名前を挙げるのは、いつも田中だった。爪先まで神を宿し、力感なく静かに技をつないでいく。連想させるのは水の流れだろうか。

「見ていて気持ち良いリズム、響くリズムって絶対にあると思うんですよ。そこを知らず知らずにつけていけたらと思っています」

 得意の平行棒、鉄棒を得点源に、今なお6種目の個人総合に強いこだわりを見せる。来年の全日本選手権個人総合にも出場予定。その先には同年秋に名古屋で開催されるアジア大会、28年ロサンゼルス五輪も見据えている。

「またオリンピックに出たら面白すぎるなって感じている自分がいるので。アジア大会に出られるような力が僕にまだあるなら、ロスも見えてきますよね」

 着地のたびに体はきしむ。元々それほど強くない酒は、さらに飲めなくなり、年齢を痛感することも増えた。いつまで現役を続けられるかは分からない。ただ、漠然とした引き際のイメージだけがある。

「美しく終われないだろうなと思うんですよ、ここまで来ちゃうと。そんなステージは整わないだろうなって……。いつ怪我をするかも分からないですし、急に試合に出なくなったなで終わるかもしれない。美しくないパターン、全然あるんですよね」

 最後に口にしたのは、美しさとは対極の泥臭い覚悟だった。

「あがけるところまで、最後まであがきますよ」

 美しくないからこそ、美しい。田中だけが演出可能な逆説のフィナーレまで、心技体を磨き続ける。

(THE ANSWER編集部・杉本 亮輔 / Ryosuke Sugimoto)

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