「最後まであがきます」体操“内村超え”36歳で現役、田中佑典が描く引き際「美しく終われない」
体操ニッポンの復活に沸いた2016年リオデジャネイロ五輪から、9年以上が経過した。内村航平さんら金メダルメンバーが引退する中、いまだ美しく体を操る大ベテランがいる。田中佑典(田中体操クラブ)は、なぜ今も闘い続けるのか。描く引き際はあるのだろうか。周囲から「仙人」と呼ばれるようになった36歳に、単独インタビューで迫る。(取材・文=THE ANSWER編集部・杉本 亮輔)

単独インタビュー
体操ニッポンの復活に沸いた2016年リオデジャネイロ五輪から、9年以上が経過した。内村航平さんら金メダルメンバーが引退する中、いまだ美しく体を操る大ベテランがいる。田中佑典(田中体操クラブ)は、なぜ今も闘い続けるのか。描く引き際はあるのだろうか。周囲から「仙人」と呼ばれるようになった36歳に、単独インタビューで迫る。(取材・文=THE ANSWER編集部・杉本 亮輔)
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田中に会うのは4、5年ぶりだろうか。11月29日に36歳になった体操界の大ベテランは、待ち合わせ時間の10分以上前に姿を見せた。柔らかく笑った時にできる目尻のシワが、時の流れを感じさせた。
「最近、同い年のキャラクターは誰かなって検索するようになったんですよ。35歳は野原ひろし(クレヨンしんちゃん)、36歳はポルコ・ロッソ(紅の豚)と同じでした。あとは最近、周囲から『仙人』って呼ばれるようになりましたね。演技を見てなのか、年齢を見てなのか、練習方法を見てなのかは分かりませんけどね」
ポルコ・ロッソの名セリフとして、あまりにも有名な「飛ばねぇ豚はただの豚だ」。田中はもちろん、ただの体操選手ではない。36歳になった今も、闘争心を翼に飛んでいる。
「年齢を重ねると、結果なんて二の次ぐらいになってくるかな、と思っていたんですけど、やっぱりやるからには上を目指したいんですよ。上手い年下の選手とか見てても、ちょっと負けてられへんなっていうのもあるし。『この気持ち、まだ収まらんのか』っていうのも、我ながらあるんですよね」
34歳で臨んだ昨年のパリ五輪代表選考。若き才能が火花を散らす中、最後まで切符を争い、わずかな差で敗れた。一般的な捉え方をすれば大健闘といえるだろう。だが、田中は違った。
「めちゃめちゃ悔しかったですね。競技人生でベスト5には入る悔しさ。時間が経てば経つほど、沸々と……。仕事でオリンピックの中継に出演させていただいたんですけど、どこかしら悔しさがありましたね。後輩たちの金メダルを祝う気持ちはもちろんありつつ、スタジオじゃなくてパリにいる可能性もあったよな……とよぎっていました」
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