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プロレス転向「別に後ろめたいことじゃない」 ウルフ・アロン、言い切れる背景に柔道家の自負

柔道五輪金メダリストのウルフ・アロン(29)が、プロレスデビューを前に畳の上からのファンを沸かせた。ウルフは6日、グランドスラム東京大会初日(東京体育館)の決勝戦前に全日本柔道連盟から功労者表彰を受けると、右手にマイクを握ってパフォーマンス。プロレスをアピールした。

パーク24の吉田秀彦監督(左)から激励を受けるウルフ・アロン【写真:編集部】
パーク24の吉田秀彦監督(左)から激励を受けるウルフ・アロン【写真:編集部】

1月プロレスデビュー、マイクパフォーマンスの予行演習も

 柔道五輪金メダリストのウルフ・アロン(29)が、プロレスデビューを前に畳の上からのファンを沸かせた。ウルフは6日、グランドスラム東京大会初日(東京体育館)の決勝戦前に全日本柔道連盟から功労者表彰を受けると、右手にマイクを握ってパフォーマンス。プロレスをアピールした。

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 まるで、壮行会だった。柔道界への功労者の一人として表彰されると「プロレスラーのウルフ・アロンです」とあいさつ。ファンを引き込むと「1・4東京ドームのチケットを買ってください」と、プロレスデビューする来年1月4日の新日本東京ドーム大会のPRまでした。

 東京五輪100キロ級の金メダルで、世界選手権、全日本選手権と合わせて史上8人目の「柔道三冠」を達成。パリ五輪を経て今年6月に引退し、プロレス転向を表明した。長髪にひげをたくわえて「プロレスラー」らしくなったウルフは、転向半年後の表彰に「ありがたいですね」と話した。

 古い柔道ファンには異様な光景だった。歴史的な背景もあって、柔道界のプロレスアレルギーは強かった。全日本王者の坂口征二がプロレス入りした時は大騒動になったし、全日本選手権7度優勝の小川直也、五輪金メダリストの吉田秀彦や石井慧のプロ転向には批判の声も少なくなかった。

 しかし、時代は変わった。「プロレスではやることもあると思うので」と、ウルフは慣れた感じでマイクパフォーマンスの予行演習。「気持ちよかった」というプロレスラーの話術に引き込まれるように、スタンドからは歓声が送られた。

「別に後ろめたいことをするわけじゃない」と言い切れるのは時代の変化だけではなく、後悔のない競技人生を送ってきた自負があるからだ。「バックボーンは変わらない。培ってきたものを生かしながら、プロレスで頑張っていきたい」。柔道家としてのプライドを胸に言い切った。

 プロレスラーとしての肉体改造は着々と進んでいる。現在の体重は117キロ。「柔道は朝練があったけれど、プロレスの練習は10時から。しっかり睡眠をとって、やっています」と話しながら「今日は早かったので、めちゃくちゃ眠い。無理やりコーヒーを流し込んで来ました」と言って笑わせた。

「先生方や先輩たち、後輩たちが声をかけてくれるのはうれしかった。柔道界が送り出してくれるのを感じた。それを力に代えていきたい」と力を込めて言った。デビューまで1か月。「まだやれることはあるので、もっともっとレベルアップしたい」。23年間取り組んできた柔道を背負って、ウルフはプロレスのリングに立つ。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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