暗闇から聞こえた「大谷君を指名します」 強行2日前、日本ハムが見出した勝算「だって、出しているじゃない」【ドラフト事件簿】
プロ野球のドラフト会議が23日に行われる。日本人選手の活躍で、大リーグが身近になるにつれて増えているのが、高校や大学から直接渡米を志す選手だ。ドジャースの大谷翔平投手も2012年秋にそう希望し、会見まで開いた。ただ日本ハムの“強行指名”と粘り強い交渉に翻意し、日本でプロとしてのキャリアをスタートさせた経緯がある。裏側では一体、何が起きていたのか。

2012年秋…突然の1位指名公表に騒然
プロ野球のドラフト会議が23日に行われる。日本人選手の活躍で、大リーグが身近になるにつれて増えているのが、高校や大学から直接渡米を志す選手だ。ドジャースの大谷翔平投手も2012年秋にそう希望し、会見まで開いた。ただ日本ハムの“強行指名”と粘り強い交渉に翻意し、日本でプロとしてのキャリアをスタートさせた経緯がある。裏側では一体、何が起きていたのか。
【注目】日本最速ランナーが持つ「食」の意識 知識を得たからわかる、脂分摂取は「ストレスにならない」――陸上中長距離・田中希実選手(W-ANS ACADEMYへ)
2012年のドラフト会議は10月25日に行われた。その2日前の10月23日、日本ハムは千葉県鎌ケ谷市の球団施設で会議を開いた。球団首脳が集まり、ドラフトでの指名方針を確認する場だった。気が付けばあたりは日が暮れ、真っ暗になっていたと記憶する。建物の外で待っていた報道陣に囲まれ、当時の山田正雄GMが口を開いた。「今日は皆さんにお話があります」という言葉が、ただならぬ雰囲気を感じさせた。
「ドラフト会議で、大谷翔平君を指名します。一番力のある選手を1位という方針を貫き、大谷君を1位指名します」
意外な言葉に、一瞬固まった。今ならネット速報の嵐になっていただろう。この年のドラフト戦線は、当時の高校最速160キロをマークしていた大谷(岩手・花巻東高)と、甲子園で春夏連覇を果たした藤浪晋太郎投手(大阪桐蔭高)を中心に回っていた。ただ大谷はこの2日前、21日に会見を開いて「アメリカでプレーさせていただくことにしました」と“米国直行”を表明したばかりだった。日本ハムはここにくさびを打ち込んだのだ。
日本ハムは例年、ドラフト1位では「その年のナンバーワン選手」を指名すると打ち出していた球団だ。その方針に従えば、160キロの剛速球を投げるのに加え、打者としても高校通算56発という大谷を指名することに疑問はなかった。藤浪と比べ、投手としての完成度がまだまだという声を聞いたことはあったが、スケールの大きさは疑いようがなかった。
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)










