野球少女がサッカーに魅せられて 創部5年の高校で日本一になった18歳加藤ももの3年間
原点、出会いや別れ、ターニングポイント。アスリートが迎える様々な“はじまりのとき”を、東海地区を拠点に取材するライター・山田智子氏が連載「STARTLINE」でお伝えする。第1回は、創部5年目にして全国制覇を果たした星槎国際湘南を今春卒業。地元・愛知県で新たなサッカー人生をスタートさせたヤングなでしこの加藤ももに話を聞いた。
連載「STARTLINE」―星槎国際湘南で日本一に導いた18歳加藤ももの“はじまりのとき”
原点、出会いや別れ、ターニングポイント。アスリートが迎える様々な“はじまりのとき”を、東海地区を拠点に取材するライター・山田智子氏が連載「STARTLINE」でお伝えする。第1回は、創部5年目にして全国制覇を果たした星槎国際湘南を今春卒業。地元・愛知県で新たなサッカー人生をスタートさせたヤングなでしこの加藤ももに話を聞いた。
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今年1月に開催された高校女子サッカー選手権大会で、創部わずか5年目にして日本一の栄冠に輝いた星槎国際湘南。6月にFIFA女子ワールドカップを控えるなでしこジャパン(サッカー女子日本代表)の期待の新星、宮澤ひなた(日テレベレーザ)が同校の出身ということもあり、にわかに注目を集めている。
この大会で5得点を挙げ、優勝の立役者となったFW加藤ももは、今春同校を卒業。地元・愛知県に戻り、古巣でもあるNGUラブリッジ名古屋(なでしこチャレンジリーグ所属)に加入した。U-19日本女子代表にも名を連ねるルーキーが飛躍するきっかけとなった高校3年間を紐解く。
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「二つの動作を同時に行うのが面白そう」
小学4年生まで野球に夢中だった少女が、サッカーに転向した理由は少しユニークだ。
「それまでは兄の影響で野球をしていたんですけど、名古屋グランパスのアカデミーにいた兄の友だちの試合を観に行って、サッカーをやりたいと思いました。野球は、打つだけ、走るだけ、投げるだけみたいな感じですが、サッカーは走りながらボールを蹴ったり、考えながらプレーする。そういうところが面白そうだなと感じました」とサッカーに惹かれた理由を語る。
小学5年生のときに、愛知で強豪チームとして知られるNGUラブリッジ名古屋のアカデミーに入団。「周りのレベルが高くて、みんな足元が上手いし、中学まではずっと『下手だな』と悩みながら練習をしていました。でもサッカーをするのは楽しくて、やめようと思ったことはなかったですね」
同期には中学生ながらトップチームで主力として活躍していた柴山史菜(現浦和レッドダイヤモンズレディース)、1学年下には大道奏(藤枝順心高)ら、ナショナルトレセンや各年代別代表選出経験を持つ選手が多く所属していた。一方、当時の加藤は始めた年齢が遅かったこともあり、「ナショナルトレセンに選ばれるレベルにはとてもなかった」という。奇しくも常盤木学園高に進学した柴山とは、高校サッカー選手権の決勝の舞台で再会することとなる。
「柴山さんは当時から本当に上手かった。ライバルというより、今でもリスペクトの気持ちが強いですね。決勝でも試合をしながら『やっぱり上手いなあ』と(笑)。でも負けたくないという気持ちが強かったので、チームとして勝ててよかったです」