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人生初の「サインください」に刺激 陸上混成競技の新大会、「観客参加型」に込めた仕掛け人の願い

初めて求められたサインに刺激を受けたという梶木選手【写真:平野貴也】
初めて求められたサインに刺激を受けたという梶木選手【写真:平野貴也】

期待される「山形TFC混成競技記録会」との化学反応

 大会のもう1つの目的は、混成競技をより身近で触れやすい存在にすること。一部種目で観客をグラウンドレベルに入れて距離を近づけたのは、その一環だ。選手には大会ロゴ入りステッカーを持たせ、観客にはそれを選手から受け取るように告知し、交流を促した。梶木が「サインくださいと、初めて言われた。七種は、陸上競技の中でもあまり注目されなくなってしまっていると思う。高校生たちが見てくれているという緊張感があって良かった。自分が高校生の時、(当時トップだった)山崎有紀さんたちに憧れた。自分たちがそういうカテゴリーになってきたんだ、頑張らなければという気持ちになった」と話すなど、競技発展のための役割を選手に考えさせる機会にもなっていた。

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 発起人の中村氏は「今の(トップ)選手には、観に来てくれた人と交流して(陸上競技の魅力に)引き込んでいく部分が足りていない。来てくれた人にどう楽しんでもらうか。応援してもらって、それを力にするのが大事だよと選手に話した。大会中に少しずつ良い方向に変わって良かった」と確かな前進を感じ取っていた。

 大会は、山形での継続開催を予定している。今後、日本の幅広い混成競技選手が山形に集い、山形から世界に打って出ていく大会へと発展させる考えがある。海外選手の招聘も検討。3年後に世界陸連の公式ポイント大会に格上げすることも念頭に置いている。そのためには地元の協力と、さらなる注目を集めることが重要になる。

 山形開催の鍵となったのは、地元の子どもたちが、まだ知らない適性種目に出会う可能性を引き出すために始まった「山形TFC混成競技記録会」の存在が大きく、共催の形を取った。競技や種目の新たな可能性を模索する「10&7」に理解を示した山形TFCの五十嵐徹理事長は「実際に一緒にやってみて、違和感はない。我々が、混成競技の発展の一助になれたらいい」と話し、新たな発展を探る記録会と大会の化学反応に期待を抱いていた。

 大会参加と観戦の両面で、地元の活性化が期待されるところ。ネッツえがおフィールドは大きなスタンドのない会場で、観客と選手の距離が近い。記録会に参加した我が子を見るために来場した松田朋治さんは、10&7の男子棒高跳びを観戦。「これだけ近い距離で、現役のトップ選手を見られることはない。子どもたちには良い勉強になると思う。山形のレベルも上がったら嬉しい」と喜んでいた。

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