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超難関・上智大にいた153km右腕 インスタのヒントで超進化…大学初のNPB入りへ「育成でもなんでも」

都会の真ん中のグラウンドで、工夫しながら練習する正木【写真:羽鳥慶太】
都会の真ん中のグラウンドで、工夫しながら練習する正木【写真:羽鳥慶太】

米国で高校生活…目覚めた野球の魅力「難しいから楽しいんです」

 4年春に150キロを超えたのも、インスタグラムで見つけた海外の動画がきっかけだった。後ろ足の蹴りでパワーを出そうとしていたのを、マウンドの傾斜を使いながら、前に倒れていくほうへと意識を向けた。「後ろ足を感覚的にはあまり使わないで、重力を使いながらっていうのをためしたら、ボンっと出たんです」。そんな瞬間が楽しくて、野球を続けてきた。

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 上智大からNPB入りした選手は過去にいない。そこでプロ入り一本に進路を絞るという選択は特異に見える。「親は心配してましたね。でも結局は、自分の人生なんだからいけるところまで頑張れと応援してくれています」。入学した2022年の春は「楽しくやれればいいな」と思っていた。そこから考え、工夫して技術を伸ばしていけたのは、育ってきた環境も関係していそうだ。

 神奈川県出身だが、1歳の時に父の仕事の都合で米アラスカ州に移り住んだ。小学2年で日本に戻り中学1年まで過ごすと、今度は米ワシントン州へ。高校生活は同地のレドモンド高で送り、野球部にも入った。地域の公立高校だという。同世代が日本で送るような、野球一色の生活ではなかった。米国では季節によって違うスポーツに取り組むのが当たり前。正木もその常識の中で育った。

「いろいろなスポーツをやったのが良かったと思うんです。種目によって体の使い方って違うじゃないですか。それが自然に身についたというか」。水泳、サッカー、バスケットボール、トライアスロン、野山を駆けるクロスカントリーにも取り組んだ。「肺活量とかバネとかにはいい影響があったと思います。身体能力も強みのひとつなので」。剛速球を投げる上でベースとなるパワーも育んだ。今ではデッドリフトで240キロを上げる。

 考え方の面でも、大きな影響を受けている。「やりたいことをやらせてもらえたのは本当に良かった。高校も自分で考えてやらなきゃいけなかったので、今の上智大学の環境には合っていたのかなと思います。強豪校でやっている選手だったら監督、コーチに言われたメニューをやると思うんですけど、自分はアメリカにいて、そういうことがなかったので」。

 野球をこれ以上突き詰められる場は、プロ野球しかないと踏んでの挑戦だ。「野球って、難しいから楽しいんです。うまく行ったと思ったらまた違う問題が出てきたりとか。自分は力に頼った感じでここまでやってきましたけど、力を抜いたほうが速いボールを投げられたりとか……。そういう深さがあるので、のめり込むんです」。投手を始めたのは大学から。チャンスがあれば、一気に化ける能力を秘めた剛腕は、縁があることを信じてその日を待つ。

(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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