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ハンド名門に復活の兆し 主力流出で低迷も…かつての「東の雄」大崎オーソル埼玉に膨らむ期待感

復活を目指すハンドボール界の名門、大崎オーソル埼玉がリーグHで今季初黒星を喫した。ここまで3勝1分けと負けなしの大崎は9日、東京・墨田区のひがしんアリーナでジークスター東京と対戦。前半16-10で折り返したが、後半逆転を許して26-28で敗れた。

ジークスター東京戦に出場した大崎オーソル埼玉の末岡拓美【写真:編集部】
ジークスター東京戦に出場した大崎オーソル埼玉の末岡拓美【写真:編集部】

ハンドボールリーグH、大崎オーソル埼玉に漂う名門復活の予感

 復活を目指すハンドボール界の名門、大崎オーソル埼玉がリーグHで今季初黒星を喫した。ここまで3勝1分けと負けなしの大崎は9日、東京・墨田区のひがしんアリーナでジークスター東京と対戦。前半16-10で折り返したが、後半逆転を許して26-28で敗れた。

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 前半は完全にゲームを支配した。中盤までは競り合ったが、15分過ぎからの連続得点で突き放した。相手の攻撃を激しいディフェンスとGK高橋海(26)のセーブで止め、効果的にサイド攻撃を織り交ぜながら次々とゴールした。末岡拓美主将(26)も「強度のあるディフェンスができた」と振り返り、後半立ち上がりのゴールで7点まで差を広げたが、それを守ることができなかった。

「ジークがこのまま終わらないことは分かっていたけれど」と日本代表の井出悠登(25)。警戒はしていたが、ジリジリと迫ってくる相手に浮き足立った。24-20と迫られた18分過ぎからの5連続失点で逆転された。「後半はジークがこちらのディフェンスを一度受けてからポストを使うように攻め方を変えてきた。相手の変化に対応する力が足りなかった」と末岡は悔しそうに話した。

 大崎電気として1960年に創部されたチームは、西高東低のハンドボール界で長く「東の雄」に君臨してきた。低迷した時期もあったが、日本選手権では最多の15回優勝。日本リーグでは2015-16年からの3連覇を含み6度頂点に立っている。近年では宮崎大輔や土井レミイ杏利らハンドボール界を代表する選手も輩出していた。

 しかし、昨年発足のリーグHに向けたリーグ改革の波に乗り切れなかった。19-20年に日本リーグを制したチームの中心メンバーが次々と移籍。信太弘樹(36)や元木博紀(33)ら8人はジークスターに新天地を求めた。主力を失ったチームは22-23年の日本リーグで12年続けていたプレーオフ進出を逃す6位に終わり、リーグH初年度となった昨季も7位。「トップ3」と言われる豊田合成ブルーファルコン名古屋、ブレイヴキングス刈谷、ジークスターに大きく引き離された。

 6年前の日本リーグ優勝を知る選手は数えるほど。それでも、目標はリーグHのプレーオフ進出、そして日本一。今季は欧州でプレーした司令塔の松岡寛尚(28)が復帰し、167センチのLW神初真郁(じんぱち・まいく、22)ら新加入組も活躍。開幕戦こそレッドトルネード佐賀と引き分けたが、その後3連勝と復活の兆しをみせていた。

 前半は現在の「東の雄」ジークスターを圧倒しながらも、後半逆転を許す悔しさを味わった大崎。それでも、若い選手が多いだけに可能性はある。「気を落とさずに練習をやっていくしかない」と井出が話せば、末岡も「僕たちはまだ何も成し遂げていないチーム。足りていない部分を修正し、戦っていくだけ」。名門復活に向けて、大崎のシーズンは始まったばかりだ。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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