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欧州王者も圧倒される異例1.4万人集結 「石川祐希VS高橋藍」が世界に示した日本のバレー熱

サントリーの高橋藍【 写真:森田直樹/アフロスポーツ】
サントリーの高橋藍【 写真:森田直樹/アフロスポーツ】

観客数はSVリーグ男子が上…ペルージャ側は「毎年日本で」希望

 各国から代表選手が集まる世界最高峰のセリエAとはいえ、観客は決して多くない。12チームで形成されるトップリーグのセリエA1でも、1試合平均は3000人弱。観客数だけをみれば、初年度で平均3021人のSVリーグ男子の方が上だ。

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 石川も所属したミラノを除けば、トップリーグは強豪サッカークラブのない地方都市を本拠とするチームがほとんど。ペルージャはかつて中田英寿がプレーしたサッカーでも知られるが、現在サッカーはセリエC所属。同クラブが経営破綻でセリエDに降格した2010年にペルージャに本拠を移したのがバレーボールだった。

 試合会場の規模も大きくはない。5420人を収容するミラノのアリアンツ・クラウド・アリーナが最大で次ぐのはペルージャのパラバートンで5000人。多くは3000人台だから、リーグ戦で1万人超えを経験することもない。今年ペルージャが初優勝した欧州チャンピオンズリーグ決勝(ポーランド)でも1万800人。ロレンツェッティ監督が日本の大観衆に驚くのも無理はなかった。

 サッカーなど他の競技では欧州クラブのアジアツアーも珍しくないが「イタリアのバレーボールチームがアジアに遠征するのは初めて」と同監督。23年の世界クラブ選手権で連覇を果たした時、3位に入ったサントリーと接触したのをきっかけに今年1月に提携を結び、今回の歴史的な試合が実現した。

 1万4000人ものファンの声援を受ける中、最高の雰囲気で行われた親善試合。ペルージャはクラブの公式HPでも、日本のファンやメディアの歓迎ぶりを興奮気味に伝えている。「この試合でシーズンのスタートを切れたのは素晴らしいこと」と、ロレンツェッティ監督も満面の笑み。サントリー側は「相互のホームで開催」と提案したというが、ペルージャ側は「毎年日本で」と希望しているという。

 世界を驚かせた日本のバレーボール人気。選手の「推し」に頼る部分もあるが、圧倒的な動員力があるのは間違いない。それが、欧州王者のペルージャを通して世界へと伝わる。「2030年に世界最高峰リーグへ」と船出したSVリーグ。実力はともかく、その人気は世界トップレベルにあるといえる。(荻島弘一)

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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