巨額赤字の日産自動車、社長が復活野球部に伝えた「次のシーズンは…」 日本独特の企業スポーツが生む“価値”
巨額の赤字を抱え経営再建中の日産自動車は、2009年に休部した野球部を16年ぶりに復活させた。9月には夏の都市対抗と並ぶ全国大会の日本選手権予選を戦い、28日の代表決定戦まで進出したもののホンダに1-7で完敗。夏と同じく“あと1勝”に泣いた。試合には、イヴァン・エスピノーサ社長兼最高経営責任者(CEO)が姿を見せ、スタンドで熱心に応援する場面も。経営が厳しい中、トップが口にした「次のシーズン」という言葉に、チームは何を感じたのか。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)

16年ぶり復活の日産野球部、初年度は全国大会出場ならず
巨額の赤字を抱え経営再建中の日産自動車は、2009年に休部した野球部を16年ぶりに復活させた。9月には夏の都市対抗と並ぶ全国大会の日本選手権予選を戦い、28日の代表決定戦まで進出したもののホンダに1-7で完敗。夏と同じく“あと1勝”に泣いた。試合には、イヴァン・エスピノーサ社長兼最高経営責任者(CEO)が姿を見せ、スタンドで熱心に応援する場面も。経営が厳しい中、トップが口にした「次のシーズン」という言葉に、チームは何を感じたのか。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)
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「可能性はまだまだある。最後まであきらめず、一生懸命頑張ってくれた。次のシーズンはとても高いところを期待しています」
試合後ベンチを訪れたエスピノーサ氏は、ナインを前にこう激励した。経営トップがはっきり口にした「次のシーズン」という言葉に、チームの空気は引き締まった。
日産は7月、今年4月から6月の決算が1158億円の赤字になると発表した。最終赤字は4四半期連続となる。チームが寮や練習場を置く追浜工場(神奈川県横須賀市)は生産体制縮小の中で、2027年度限りで車両生産を停止する。その中で復活した野球部には、世間から厳しい視線も向けられてきた。

特にこの四半世紀、経営不振に陥った企業が運動部を整理してきた負の循環もある。日産もリーマンショック後の2009年、一度は休部の憂き目にあった。誰もが、野球部の存続に確信を持てないまま戦ってきた部分がある中で「次のシーズン」という言葉には重みがある。主将の石毛大地外野手は言う。
「正直、先が見えないところは感じてきました。でも次のチャンスを与えてくれた。この負けを糧にしないと。会社を背負っていることは分かっているつもりでしたけど、こうして、休みの日にみんな球場に来てくださる。ふがいない姿を見せるわけにはいかないと、より思いました」
この試合「6番・中堅」で先発した石毛は「僕が打っていればというところが2回来たので…」と悔しさをあらわにする。3点を先制された直後の初回、2死満塁で二ゴロに倒れた。3回には1点を返した直後に2死一、二塁で打席に立ち、見逃し三振に終わった。
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