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世界陸上の裏で新大会創設に奔走 十種競技のレジェンド・右代啓祐×中村明彦が始動

9月13〜21日に東京が舞台となった世界陸上は大盛況のうちに幕を下ろした。34年ぶりの東京開催とあって、会場の国立競技場には連日、5万人を超える観客が集結。日本代表選手だけではなく、世界中からやってきたトップアスリートたちに大きな声援や拍手を送った。

日本の十種競技を代表する右代啓祐(右)と中村明彦がタッグを組む【写真:藤岡雅樹】
日本の十種競技を代表する右代啓祐(右)と中村明彦がタッグを組む【写真:藤岡雅樹】

10月11,12日に山形市で「渡辺パイプ presents 10&7 Championships」初開催

 9月13〜21日に東京が舞台となった世界陸上は大盛況のうちに幕を下ろした。34年ぶりの東京開催とあって、会場の国立競技場には連日、5万人を超える観客が集結。日本代表選手だけではなく、世界中からやってきたトップアスリートたちに大きな声援や拍手を送った。

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 陸上競技における世界一決定戦が行われていた裏で、次世代の選手たちと競技の未来を思い、新たな大会を立ち上げるために奔走する人たちがいた。十種競技の日本記録保持者・右代啓祐選手(国士舘クラブ)と同日本歴代2位の記録を持つ中村明彦氏(スズキ)だ。このたび、世界陸上やオリンピックという最高峰で戦った経験を持つ2人がタッグを組んで立ち上げたのが、混成競技に特化した「渡辺パイプ presents 10&7 Championships」(以下、10&7 Championships)だ。

 山形で長らく続く「山形TFC混成競技記録会」との共催という形をとり、10月11、12日に山形市内にあるネッツえがおフィールドで開催される第1回大会。開催に至った経緯や込められた思いなどについて、2人に聞いた。

 ◇ ◇ ◇

 十種競技とは1人の選手が2日間で、100メートル、走幅跳、砲丸投、走高跳、400メートル、110メートルハードル、円盤投、棒高跳、やり投、1500メートルの合計10種目を行い、得点を争う競技だ。スピードもパワーも求められ、勝者は敬意を込めて“キング・オブ・アスリート”と呼ばれる。女子の場合は七種競技となり、勝者は“クイーン・オブ・アスリート”と称される。

 現役選手であると同時に母校・国士舘大で学生の指導にあたる右代と、2023年10月に現役引退後はスズキアスリートクラブで後進を指導する中村。2人が切磋琢磨しながら世界で戦った2010年代は、世界陸連(WA)が設定する参加標準記録を期間内に突破すれば世界大会に出場できるという仕組みだった。

 だが、東京五輪からWAランキングによる選考が加わることに。対象大会の記録スコアと順位スコアによりパフォーマンススコアが算出されるのだが、同じ順位でも出場した大会のカテゴリーによりポイントが異なる。また、十種競技では対象大会に2つ以上出場することが、WAランキング入りする条件の1つ。こうして獲得したポイントにより決まるWAランキングでターゲットナンバー(出場枠)内に入ると、世界陸上やオリンピックなどに出場できるというわけだ。

 引き続き、参加標準記録による選考も採用されているが、従来よりも基準が高く設定されており、今回の世界陸上の場合、十種競技は右代が持つ日本記録(8308点)を上回る8550点と設定されていた。そのため、WAランキングによる選考が、選手にとってはより現実的な大会出場への道とも言える。

「でも、日本国内では大きくポイントを稼げる大会が日本選手権のみになってしまったんです」と右代は嘆く。「海外の大会に出場しないとポイントが稼げない現状があるものの、選手にとっては資金面での負担が大きく、出場できないこともある。そこで、日本国内にポイントが多く稼げる大会、世界に羽ばたくためのきっかけとなる場所を、自分たちで作ってしまおう、というのが始まりです」。

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