154km投げても…ドラフト指名は「昨年であきらめました」 31歳が立つ現実、平間凜太郎が目指す“超二流”の道

王道ルートを降りたから分かった「自分を売り込んでいいんだ」
「いろんな選手のスタイルがあるわけじゃないですか。それが野球の良さだと思うようになって……。チームにはバランスがある。僕は(ゲームの)パワプロが好きなので例えてしまいますけど、オールAの選手ばかりいればいいわけじゃない。尖った能力のある選手が、自分の強みを生かせるのがいいチームじゃないですかね。そういうところで輝ける選手もいるわけです」
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一度海外に飛び出すことで、次々に道がつながっていくのも実感した。「行きやすくなるんです。逆に言えば飛び出さなければ一生ない」。踏み切り線を越えた平間にとって、今後の野球人生の目標は海外で活躍することと、もう一つある。
「野球で生きる道はあると思っているんです。僕は“野球伝道活動”と呼んでいるんですが……。自分で投球を突き詰めてきたのでピッチデザインをできますし、直接やオンラインで技術指導もできる。野球を伝えたいと考えるのは、仲間がほしいからなんです」
子どもたちをはじめ、様々なレベルの選手と交流していきたいと考えている。教えるという一方的な関係ではなく“同志”として高めあっていきたいというのだ。
「どんなレベルの選手に対しても、頑張っている姿は影響を与えると思うし、逆もそうです。そして現役でいるうちは、実際にやってみせることもできる」。どんなレベルの選手からも、得るものがあるという平間。柔軟な考え方も、野球を長く続ける上では大きな強みだ。
社会人野球の東海REXでプレーした20代前半を「プロ野球なんて見えていなかったですよ」と振り返る。価値観が変わり始めたのは、高知に移ってからだ。「独立リーグではSNSで選手が個人スポンサーを募集していたり、自分を売り込んでいいんだって知ったからです。実際にカーブの動画をインスタに上げて、メキシコとの契約が舞い込んだわけですし」。
歳を重ね、夏も冬も投げ続けた疲労はあった。今春はどのチームにも所属せず、身体のコンディション調整に時間を割いた。右腕が上がらないところからでも、しっかりメンテナンスすれば体はまた動くようになった。今年6月には高知へ復帰。自己最速に並ぶ154キロを叩き出すほど調子はいい。直球が8割という新たなスタイルに自信を深めているところだ。
高校、大学でドラフト指名を受けて活躍するという王道がある一方で、こんな野球人生もある。「経験は武器です。いろんなところで、いろんなことをやっていますからね。超一流の“二流”を目指したい」。知識や経験をシェアしながら、細く長くを地で行く選手になるのかもしれない。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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