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154km投げても…ドラフト指名は「昨年であきらめました」 31歳が立つ現実、平間凜太郎が目指す“超二流”の道

プロ野球からドラフト指名を受けるために、実力以外に必要なものがある。「縁」や「運」だ。独立リーグの高知で投げる平間凜太郎投手は今年31歳。8月に自己最速に並ぶ154キロを叩き出し、唯一無二の魔球“ナイアガラカーブ”も持つが、昨年を区切りにNPBからのドラフト指名は「あきらめた」という。ただこれは、プロ野球選手であるのをやめるという意味ではない。思い描く進路は、どこを向いているのか。価値観が変わったという経験を教えてくれた。

昨冬はベネズエラの人気チーム・アラグアで先発ローテーションに加わった平間【写真:本人提供】
昨冬はベネズエラの人気チーム・アラグアで先発ローテーションに加わった平間【写真:本人提供】

「求められないと行けない」NPB、海外挑戦で気づいた

 プロ野球からドラフト指名を受けるために、実力以外に必要なものがある。「縁」や「運」だ。独立リーグの高知で投げる平間凜太郎投手は今年31歳。8月に自己最速に並ぶ154キロを叩き出し、唯一無二の魔球“ナイアガラカーブ”も持つが、昨年を区切りにNPBからのドラフト指名は「あきらめた」という。ただこれは、プロ野球選手であるのをやめるという意味ではない。思い描く進路は、どこを向いているのか。価値観が変わったという経験を教えてくれた。

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 平間は5月31日に31歳になった。専大卒業後、社会人野球に3年在籍したが退職。新天地を求めた高知では最多セーブやMVPとタイトルを次々に獲得し、ドラフト候補と呼ばれた。それでも指名はなく、昨季はNPBのウエスタン・リーグに参加したくふうハヤテへ。さらに冬季シーズンにはメキシコやベネズエラのウインターリーグで投げた経験もある。その上で、昨季を区切りにNPB入りを「あきらめた」とまでいう理由は、はっきりしている。

「30歳を超えたという現実はあります。実力が通用するかどうかじゃなく、年齢が行きすぎました。NPBは求められないと行けないところですから」

 ただこれで、野球を生業とする“プロ野球選手”への道が絶たれたわけではない。「野球をやる環境はひと昔前より広がっています。できるんですよ」というだけの経験を積んできた。NPBやMLBだけがプロ野球ではない。中南米ではウインターリーグが大人気。さらにここ数年のチェコのように、日本人選手の導入でレベルアップを狙う欧州の国もある。

「だったら、できる場所で輝けばいいじゃないかというのが、僕の考え方です。試合に出られる環境にいたほうが幸せだと思うんです。超一流の世界で出られないでいるより、ちょっとレベルを下げてでも、試合に出ていたほうが幸せだと思うので」

 平間は2022年夏のシーズン中に、高知からメキシカンリーグへ移籍し2球団で投げた。この2か月間の挑戦をきっかけに、海外へ飛び出していくことになる。2023年オフにはSNSで就職活動を行った。1分間の回転数が3000を超え、急激に曲がり落ちる“ナイアガラカーブ”の動画をインスタグラムに投稿したのをきっかけに契約がまとまり、再びメキシコへ。昨冬は中南米でも屈指のレベルと人気を誇るベネズエラへ渡り、ティグレス・デ・アラグアで先発ローテーションの一角を担った。

 停電も、給料の遅配も日常という世界では、何事にも驚かないタフネスが求められた。さらにここは、少しでも上に行ってやろうと、尖った武器を磨く選手の宝庫でもある。昨季大リーグ史上最年少の20歳で「20本塁打&20盗塁」を達成したチョーリオ(ブルワーズ)と対戦し三振を奪った。オドーア(元巨人)やガルビス(元ソフトバンク)といった助っ人経験者ともぶつかる中で、視野が広がっていくのを感じた。

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