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「ベテランと若手の年が離れていて中間がいない」 離れる年齢差…ハンド「銀河系軍団」が目指す「脱スター」への道

ハンドボールのジークスター東京が「脱スター軍団」でリーグH初優勝を狙う。ジークスターは19日、東京・代々木第一体育館で行われた国際親善試合でフランスリーグの強豪パリ・サンジェルマン(PSG)と対戦。35-36で敗れたものの、GK大山翔伍やCB伊禮雅太(いれい・うた)ら若手選手が活躍し、9月開幕のリーグHに弾みをつけた。

PSGに35-36で敗れたジークスターの選手たち【写真:中戸川知世】
PSGに35-36で敗れたジークスターの選手たち【写真:中戸川知世】

パリ・サンジェルマンと国際親善試合

 ハンドボールのジークスター東京が「脱スター軍団」でリーグH初優勝を狙う。ジークスターは19日、東京・代々木第一体育館で行われた国際親善試合でフランスリーグの強豪パリ・サンジェルマン(PSG)と対戦。35-36で敗れたものの、GK大山翔伍やCB伊禮雅太(いれい・うた)ら若手選手が活躍し、9月開幕のリーグHに弾みをつけた。

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 「負けたのは悔しいけれど、通用した部分はありました」。チーム最多タイの5得点を決めた伊禮は、胸を張って言った。中大から昨年チーム入りして2年目、終了1分前にはスピードを生かして相手DFの壁を突き破り「死ぬ気で打った」シュートで1点差に詰め寄った。ゴールだけでなく司令塔として巧みなパスで攻撃をリード。ゴールにこそならなかったが、華麗なパスでスカイプレーを演出してファンを沸かせた。

 GK大山も、ファインセーブ連発でチームに貢献した。先発は昨季のリーグHでMVPに輝いた岩下祐太だったが、前半途中から出場。今春筑波大からチーム入りしたルーキーだが、佐藤智仁監督が「フレッシュさはないし、大御所感まである」と笑うほどの堂々としたプレーを披露し「世界のトップのシュートを受けて、自信になった」と言い放った。

 守備の要であるPV玉川裕康主将とチームの大砲、LB部井久アダム勇樹が負傷欠場する中、若手がチームを牽引した。終了間際の同点ゴールは逃したもののRB中村翼も伊禮の並ぶ5得点、LB高橋颯汰とLB泉本心(22)が3得点…。大観衆の前で躍動した。

 相手のPSGは豊富な資金力で各国代表選手を次々と獲得してハンドボール界の「銀河系軍団」と呼ばれるが、ジークスターも「日本の銀河系軍団」だ。20年に日本リーグ入りするとともに、他チームから日本代表の中心選手を次々と獲得。LB信太弘樹やCB東江雄斗、引退した土井レミイ杏利ら歴代の日本代表主将をはじめ。人気と実力のある選手たちが日本中のチームから集まってきた。

 もっとも、それで勝てるほど甘くはなかった。個々の力はあっても「寄せ集め」ではチームはできない。リーグ戦では毎年優勝候補にあげられながらプレーオフでは準決勝止まり。大事なところで自滅し、勝負弱さを露呈してきた。

 実は、PSGも同じだ。カタール資本で世界中のトップ選手を集め、フランス国内ではリーグ戦11連覇しているが、欧州チャンピオンズリーグ(CL)では準優勝が最高でタイトルには届いていない。毎年のように優勝候補にはあがるが、ここぞの場面で敗退。こちらも「寄せ集め」の勝負弱さが欧州制覇を妨げている。

 PSGの本隊、サッカーも「銀河系軍団」と呼ばれていた。メッシ、ネイマール、エムバペという世界屈指の攻撃陣をそろえながら欧州CLでは優勝できず。「脱銀河系」を掲げてスター選手を放出し、今年若手選手の活躍で欧州CL初優勝を果たした。元祖「銀河系軍団」のレアル・マドリードもジダン、ロナウド、フィーゴらを擁しながら欧州CLは勝てなかった。「スター軍団」が勝負弱いのは、決して珍しいことではない。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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