「卓球は根暗」のイメージも今は昔 クラブ彷彿の大音響、記者を没入させたWTT大会の異質ムード
クラブ? 会場に入った瞬間、まばゆい光と大音響に圧倒された。暗いスタンドに三方を囲まれ、ステージの上に浮かび上がる卓球台。大型ビジョンにはトップ選手たちの映像がフラッシュのように流れ、ファンたちは歓声とともに持参のパネルやタオルを振る。

WTTチャンピオンズ横浜大会
クラブ? 会場に入った瞬間、まばゆい光と大音響に圧倒された。暗いスタンドに三方を囲まれ、ステージの上に浮かび上がる卓球台。大型ビジョンにはトップ選手たちの映像がフラッシュのように流れ、ファンたちは歓声とともに持参のパネルやタオルを振る。
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11日まで、横浜BUNTAIで行われた卓球のWTT(ワールド・テーブルテニス)チャンピオンズ横浜大会。男女各32人のトップ選手がシングルスで争う大会だ。WTTシリーズは一昨年に名古屋で、昨年には福岡で最終戦の「ファイナルズ」が行われたが、首都圏では初開催。「演出がすごい」とは聞いていたが、想像をはるかに超えていた。
ショーアップされたスポーツイベントは見慣れたつもりだった。バスケットボールのBリーグも、バレーボールのSVリーグも、音と光の演出は付き物だ。競泳や体操、柔道などでもスモークの中を選手が入場するなど「ド派手」な演出が普通になった。
それでも、この大会のムードは異質だった。「スポーツイベントをライブ会場化する」というよりも「ライブ会場でスポーツをする」という感じ。基本的な注意事項を除けば大音量のアナウンスはほぼ英語、流れる音楽もノリのいい海外の曲ばかりだ。
横浜を意識したのか青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」が流れた(吐息のところだけ)のを除けば(笑)、日本での試合だということさえ忘れそうな演出。呆然とするおじさん記者を面白がってか、若い卓球担当記者に「驚きました?」と言われた。はい。正直、驚きました。大会中、何度「すごい」と声をこぼしたか分からない。
WTTシリーズは、19年に国際卓球連盟(ITTF)によって設立されたWTTが運営するプロツアー。最上位の「グランドスマッシュ」から登竜門の「コンテンダーズ」まで5つのランクに分かれ、今回の「チャンピオンズ」は3番目のランク。「シングルスの王者決定戦」なのは間違いないが、横浜は年6大会のうちの1大会にすぎない。
大会の「格」としては五輪や世界選手権と比べられない。世界ランクに繋がるポイントが付与されて賞金(優勝で4万ドル)も出るとはいえ、ツアー大会の中の1試合。張本智和が決勝戦で得意の「チキータ」を封印するという大胆な作戦をとれたのも、この大会だからだろう。
とはいえ、思い切り「エンタメ」に振り切った点で「WTT」は卓球界で唯一無二だ。大会を通じて卓球台は1台のみ。全日本選手権は20台以上、五輪や世界選手権でも複数の試合が並行して進むが、この大会は1回戦から1テーブルに全観客の視線が注がれる。「インフィニティ(無限)アリーナ」と名付けられた特設会場で、ファンと選手で会場が1つになる。

今大会の観客数は5日間(10セッション)で延べ3万6000人超。連日「ライブ」を盛り上げた満員のスタンドには、中国人ファンも多かった。日本最大の中華街に近く中国人が多い街ではあるが、それとは別に「推し」とともにツアーを転戦している中国人も少なくないという。熱心な中国人ファンの「推し活」が、収益面でも大会を支えているのだ。
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