路上で始めた卓球で世界トップ10入り 転がる屋根板をラケットに…貧困を強いられた“7人兄弟末っ子”が繋ぐバトン――クアドリ・アルナ
卓球のシングルスNo.1を決める国際大会「WTTチャンピオンズ横浜」は7日から5日間、横浜BUNTAIで熱戦が繰り広げられた。男子世界ランキング21位の37歳、クアドリ・アルナ(ナイジェリア)は同7位のトルルス・モーレゴード(スウェーデン)に0-3で敗れ、1回戦で姿を消した。幼い頃には、故郷・ナイジェリアの路上でプレーした異例の経歴の持ち主。アジアや欧州が上位に君臨する卓球界で奮闘するアフリカの英雄が、次世代教育のためにアカデミーを設立するなど、母国の卓球普及に尽力する理由とは。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)

WTTチャンピオンズ横浜
卓球のシングルスNo.1を決める国際大会「WTTチャンピオンズ横浜」は7日から5日間、横浜BUNTAIで熱戦が繰り広げられた。男子世界ランキング21位の37歳、クアドリ・アルナ(ナイジェリア)は同7位のトルルス・モーレゴード(スウェーデン)に0-3で敗れ、1回戦で姿を消した。幼い頃には、故郷・ナイジェリアの路上でプレーした異例の経歴の持ち主。アジアや欧州が上位に君臨する卓球界で奮闘するアフリカの英雄が、次世代教育のためにアカデミーを設立するなど、母国の卓球普及に尽力する理由とは。(取材・文=THE ANSWER編集部・戸田 湧大)
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育った環境は決して恵まれたとは言えない。平均月収が1万2000円程度とされるナイジェリア。アルナは西部にある都市オヨの出身。ヤムイモ、トウモロコシなどの農業が盛んな地域で、1男、6女の7人きょうだいの末っ子として生まれた。
大家族ということもあり、貧しい生活を強いられた幼少期。数少ない趣味が、7歳から路上でプレーし始めた卓球だった。
「何年も前、ナイジェリアの路上で卓球を始めるのは本当に簡単だったのさ。路上に線を引いて、ネット代わりにする。あとはただ遊ぶだけ。それに、一番お金のかからないスポーツでもあるんだ。(ラケットは)落ちているアスベストの屋根板を拾うだけだったよ」
試合後のミックスゾーンで声をかけると、当時を懐かしそうに振り返ってくれた。
転機が訪れたのは10歳の頃。路上でプレーする姿を見ていた地元の卓球場経営者に潜在能力を見初められ、突然スカウトされた。
「うちの卓球場に来てみないか? 君ならもっと上手くなれる」
そこで2、3年間技術を磨いた。毎日6時間ほど練習を重ね、数年後にはナイジェリアの大都市・ラゴスで行われた少年大会に初出場。見事優勝を果たし、初めて「プロ卓球選手になれる」と実感した。「今では想像もしていなかったほど大きな成功を収めているよ」と笑みをこぼした。
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